バンドのフロントマンから見た、バンドという存在とは何なのか?
サカナクションの山口一郎さん、bonobosの蔡忠浩さん、くるりの岸田繁さん、サニーデイ・サービスの曽我部恵一さん、ザ・クロマニヨンズの甲本ヒロトさんの5人が「バンドとは何か」について話し、1対1のインタビュー形式で書籍化している。
本書は「ほぼ日刊イトイ新聞」で連載された特集をまとめた。”イントロ”は小説家の燃え殻さん、”アウトロ”は漫画家の今日マチ子さんが執筆している。
バンドとは何か? という問いに対して、戦隊もの、バンドは「スタイル」…。さまざまな答えが出てくるが、特に印象的だったのは、山口さんの「植物園みたいなイメージ」というものだ。いろんな植物が生きていて、それぞれが違う花を咲かせ、違う枝を伸ばし、違う実を付けるが、全体としては一つの植物園を形づくる様子は、バンドと似ていると思うのだそう。繊細で文学的なこの言葉は、読了後もずっと、一番心の奥深くまで刺さっていた。
内容はもちろん、デザインにも注目だ。表紙には幾重にも絡まった糸のようなイラストが描かれている。まるで「人間」という名の線がバンドを通して複雑につながっていく様子のように感じた。
日々、音楽を届けてくれている彼らの思いを知ると、普段の音楽が少し変わって聞こえるかもしれませんね。(青幻舎/2200円)
(コンテンツ部・池田知恵)