県立大学の構想に関し、佐賀県は企業や大学関係者らに聞き取りを実施した。「ITと他学部の組み合わせは標準」「設置は集まりやすい場所に」など、ITと経営をベースにした「理文融合型」の構想に同調する意見や、設置場所に関する要望があった。県はこれらの意見や県議会の議論を踏まえつつ、9月議会をめどに基本構想案の「たたき台」をまとめる方針。
2月定例県議会で県立大について「さまざまな意見を聞くべき」との声が上がったことから、県は4、5月に県内に本社や事業所を置く企業約60社の担当者、県内外の大学、中学高校関係者約30人と対面で意見を聞き取った。
県外の大学関係者からはITと他学部の理文融合型について「理系と文系の垣根がなくなってきた」との意見があり、「教員集め、カリキュラム作成は大変。既存の公立大を参考にすべき」など大学運営の難しさを指摘する声もあった。
県内の大学関係者からは「キャリアデザインができていない学生が多いので、大学側のサポートが必要」「学部のあり方は時代に応じて流行がある。ITと経営の組み合わせも旬が過ぎる可能性がある」などの指摘があった。
企業側からは「県内企業との連携を特色にすべき」(製造業)、「実践的なカリキュラムにしてほしい」(IT企業)、「若者が地域で学ぶ場が増えるのはいい」(商工団体)などの意見があった。中学高校の関係者からは「就職につながるかどうかは大事」「設置場所は集まりやすい所がいい」などの声もあった。
県政策部は「基本構想のたたき台の参考にしたい」としている。(山口貴由)