ブルワリー「Whale Brewing」の運営に携わる近藤健一さん(右)、京子さん夫妻=唐津市呼子町

「Whale Brewing」の内装イメージ。醸造タンクを眺めながらビールが味わえる

 イカの生き造り料理店を展開する河太郎(本社・福岡市)が唐津市呼子町の古民家を活用し、クラフトビールの醸造所(ブルワリー)を建設するプロジェクトが進んでいる。捕鯨で栄えたかつての活気を取り戻そうと、地元の特産品を使ったクラフトビール開発という新たな魅力づくりに取り組んでいる。

 プロジェクトは、呼子くんちの復活に携わった進藤(しんどう)さわとさんが、築80年の古民家を活用したにぎわい創出を目指し、醸造所の建設を同社に提案したことがきっかけ。捕鯨で栄えた歴史を継承しようと、醸造所を「Whale Brewing(ホエール・ブルーイング)」と名付けた。

 ビールの醸造には、呼子ファンの近藤健一さん(55)、京子さん(39)夫妻が手を上げた。呼子の透明なイカ、美しい景観に魅了され、「呼子を盛り上げたいという思いが強かった」と健一さん。32年間勤めた金融機関を早期退職し、4月、名古屋市から家族4人で呼子町に移住した。

 醸造所では、イカ料理に合うクラフトビールの製造に取り組む。佐賀県産の大麦・小麦をはじめ、呼子産の甘夏を原料にしたクラフトビール、イカスミを使った黒ビールも開発を予定しているという。近藤夫妻は約3カ月間、老舗ビアパブで醸造のイロハを学んだ。

 古民家はガラス張りに改装し、醸造タンクを眺めながらビールが味わえる空間をつくる。オープンは今秋を予定しており、収益の一部は「港町呼子まちなみ保存協議会」や「呼子くんち実行委員会」など地域活動に寄付するという。

 醸造所内の飲食スペースの整備費として、500万円を目標にクラウドファンディング(CF)で資金を募っている。河太郎から醸造所の運営を託された近藤夫妻は「呼子を愛する皆さんの力を借り、魅力を発信する起爆剤になりたい」と支援を呼びかける。(松岡蒼大)

 ▶クラウドファンディングサイトはこちら