国指定特別史跡・吉野ケ里遺跡(神埼市郡)の北墳丘墓西側にある石棺墓(せっかんぼ)の内部調査をしている佐賀県は13日、棺内の発掘作業が8割程度終わったことを明らかにした。掘り下げる深さは2~3センチ程度を残すのみとなり、埋葬された人の骨片、副葬品が見つかるか注目される。12日に確認された赤色顔料については、石棺内の板石に幅広く塗られていたことが分かった。
この日は石棺内部を5~10センチ掘り下げた。板石を支える黒粘土を確認したことなどから、前日30~40センチとしていた石棺内部の深さを25~30センチに下方修正した。石棺の底にたどり着くまで2~3センチ程度を見込む。
赤色顔料は、板石10枚中6枚の内部に塗られていたことが分かった。最も大きい部分で10センチ×40センチあった。吉野ケ里で見つかった弥生後期を中心とした石棺墓で赤色顔料が塗られていたのは5例目という。
県文化課は「見晴らしのいい立地にあり、重いふた石を使うなど総合的に考えると、一般の墓ではない、特殊性が感じられる。赤色顔料も、その裏付けの一つになる」と指摘する。「ゴールは近い。出土した遺物次第だが、今週中に(概要を)説明できると思う」と述べた。(大田浩司)