佐賀県は、4年ごとに策定する従来の「県総合計画」を「県施策方針」に刷新する。概要版と合わせ230ページほどあった「総合計画」は23ページに圧縮、数値目標などは明記せず、主な取り組みを箇条書きにし行政用語もできるだけ使わないようにした。コロナ禍を経験するなど社会情勢が流動的であることを踏まえ、施策を弾力的に展開する狙いがある。2023年度から4年間の施策方針案を15日開会の6月議会に提出する。
施策方針案では、山口祥義知事が「新時代を切り開く」と題し、「大きな方向性を示しながら、環境の変化に応じ、機動的かつ柔軟に対応する」と従来の総合計画との違いをうたう。
基本理念と8つの未来像▽県施策▽県政運営の基本姿勢と取り巻く環境―の3章構成。県施策の章では「未来に向けた重点プロジェクト」として「歩くライフスタイル」、人材・産業の創出など10のテーマを掲げる。
例えば「歩くライフスタイル」では「過度なマイカー依存から『歩く』『公共交通利用』を積極的に取り入れたライフスタイルへの転換を推進する」と記した。主な取り組みに県が徒歩を促すアプリ「SAGATOCO(サガトコ)」の活用などを挙げ、「歩きたくなる環境づくり」として「幅広い歩道の整備」などを箇条書きで紹介する。
従来の「県総合計画」では、「目指す将来像」「課題・対応」「取り組み方針」「成果指標」を掲げていた。こうした刷新に対し、県議の1人は「施策の弾力化は理解できる」としつつ、「数値目標がなければ、政策の達成具合などが外部から分かりにくくなるのでは」と懸念も示す。
県政策部は「コロナ禍も経験し、社会情勢が流動的な中で数値目標や計画にとらわれ過ぎることへの課題認識がある。できるだけ分かりやすい言葉で、県民と共有できるものにしたい」とし、「毎年度、実績評価を行い、必要に応じて『進化版』に更新する。評価は公表するので、政策の進行状況は示される」としている。(山口貴由)