佐賀中部病院(佐賀市)は1日、「睡眠時無呼吸センター」を開設する。これまで呼吸器内科医が担ってきた睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療に、循環器内科医や検査技師、管理栄養士を加えたチームで当たり、より質の高い治療につなげる。
SASは睡眠中、平均で1時間に5回以上、それぞれ10秒間以上にわたって呼吸が止まり、低酸素状態を繰り返す病気。大きないびきをかき、深い睡眠が取れずに日中、強い眠気に襲われるなどの症状がある。健康な人に比べ、心不全は4・3倍、脳卒中は3・51倍、高血圧は2・4倍、2型糖尿病は2・29倍、それぞれリスクが高まるとするデータもある。
自分で無呼吸状態に気付くのは難しく、病気とも認知されにくいため、中等症以上の患者は国内に900万人いるともいわれる中で治療中の人は1割に満たないという。顎や喉の筋肉の衰えや肥満により気道が狭くなって症状が現れることも多く、食生活の変化などに伴う現代病の一つとされる。
佐賀中部病院では他院に先駆けて2000年に診療を開始し、これまで2300人以上を診療してきた。県内でも診療できる医療機関は増えているものの、精密検査は同病院を含めて数カ所しか行っていないという。
循環器系の疾病や生活習慣とも関係が深いことから今回、診療科をまたいだ体制を整え、症例検討会などを通じて質の高い治療を目指す。門司恵センター長は「自分では気付きにくく、気になっていても『すぐ受診しよう』とは思われにくい病気。新体制で病気についても周知することで、新たな受診につながれば」と話す。(志垣直哉)