鳥栖市のNPO法人「ベネッセの会」(永友恵子理事長)が、ひとり親家庭や高齢世帯に食料品や日用品を無償で配る「フードパントリー」事業を始めた。同市本鳥栖町の民家を拠点に活動する。利用者と同時に配布品の寄贈・寄付者や運営協力者を募って人の輪を広げ、手芸の会や食事会も交えながら幅広い世代が交流・協力できる場づくりを目指す。
同会は高齢者らの移動支援サービスをしている。コロナ禍の外出自粛で家から出ず、落ち込んでいる独居高齢者らを見て「定期的な巡回の必要性を感じた」と永友さんは言い、「フードバンクさが」の協力で2020年から独居・高齢世帯へ物資を配り始めた。
物資の配布会も開く中で、ひとり親家庭の利用者が多いことに気付き、フードバンクさがの提案を受けて事業を立ち上げた。空き家を無償貸与してもらい、約15人が活動する。10日から配布を始めており、2回目は6月7日から4日間を予定している。
現在、利用は鳥栖市を中心に約30世帯。希望者は家族数などを確認した上でSNSに登録してもらい、7月以降の配布日や、日持ちのしない食品の入庫などを連絡する。消費期限が近い食品や規格外の作物などを企業や個人から募り、運営協力者も募集する。
永友さんは、高齢世帯が持つ暮らしの知恵や、子どもの面倒を見る人手を共有できる出会いと交流の場、子どもの居場所づくりも計画しており、「『もう一人の家族』としての役割が果たせないか」と今後の活動を展望する。問い合わせは同事務局、電話080(9105)2771。(樋渡光憲)