江北町出身の角田太輝の勢いは、とどまることを知らなかった。
開幕当初からのライバルで、来季はB1に挑戦する九州の2クラブの激闘となったプレーオフ決勝。大一番で自己最多の31得点を重ね、勝利をたぐり寄せた角田太輝は、「誰も諦めなかったからつかめた勝利」と全員で勝ち取った優勝を強調した。
試合開始早々、佐賀を試練が襲った。得点源のレイナルド・ガルシアが第1クオーター7分過ぎに負傷で交代し、重苦しい空気が流れた。だが、角田が持ち味の素早い切り込みと3点シュートで攻め込み、次々に得点。会場の雰囲気を変えて見せた。けが人が相次いだ苦しいシーズンを乗り越えてきた佐賀の強さを、最後まで見せつけた。
最終第4クオーターまで競り合いが続き、1点リードで迎えた残り19秒では、獲得したフリースローを冷静に沈めた。若手らしからぬ落ち着きも「いつも通り打って、あとは神頼みです」と笑顔で振り返った。
宮永雄太ヘッドコーチも「成長のスピードがすごい。B1でも間違いなくやっていける選手」と太鼓判を押す。角田は「1年で降格しては意味がない。トッププレーヤーに負けたくない」。佐賀をB2の頂へ導いた23歳は、初めて挑む国内最高峰のリーグで一歩も引くつもりはない。(北川尊教)