近年、数十年に一度といわれる大雨が頻発し、災害が毎年のように起きています。今ではあまり語られませんが、伊万里市山代町では、国が「地すべり等防止法」を制定するきっかけとなったといわれる2度の大規模な地すべり災害が起きています。
いずれも佐賀・長崎県境にまたがる標高427メートルの人形石山の中腹が地すべりを起こしたもので、昭和26(1951)年2月16日に起きた西分乙女地区の地すべりは、標高325メートル付近から幅400メートルにわたり山肌が崩壊、流出した土砂は1キロを超えるところまで達して乙女地区を飲み込み、死者3人、家屋倒壊28戸と甚大な被害を与えました。
また昭和32(1957)年7月6日に起きた西大久保地区地すべりは450ミリを超えた異常降雨が原因で、標高350メートル付近が幅150メートル、長さ400メートルにわたる地すべりを起こして、西大久保集落を埋没させ、死者7人、家屋崩壊21戸もの被害が出ています。翌33(1958)年、西大久保地区や乙女地区を含む一体は「地すべり防止区域」となり、2002年度まで対策工事が行われました。
(地域リポーター・中尾良樹=伊万里市山代町)