毎年6月はプライド月間(Pride Month)として、LGBTQ(性的少数者)やそのコミュニティーの権利啓発のイベントが世界で開催されます。日本語では「プライドが高い」など、見えやこけんを連想してマイナスのイメージを持つ方も多いですが、プライドとは誇りであり尊厳、自尊感情とも直結します。歴史的に性的少数者は多数派から阻害されたり権利の制限を受けたりしてきましたし、今も完全な解消には至っていません。プライド月間はどのような性でも自らに誇りを持って生きていける社会を実現するための運動です。

 プライド月間など、セクシュアリティーに関する運動では、シンボルとして虹色(レインボー)が用いられます。これは、性別(セクシュアリティー)を男・女という二元論で捉えるのではなく、さまざまな性をグラデーションで捉える、しかも光としてそれぞれが誇りを持って輝くことを意味するものです。したがって、ここで大事なのは、少数者か多数者かということではなく、あらゆるセクシュアリティーがそれぞれに肯定されるということで、無関係な人はいないということです。

 「性的少数者」や「LGBTQ」という言い方は多数派に対して少数者を指し示す表現であるため、ともすれば多数・少数の分断や対立を生みます。しかしながら、これは多数派が正しいとか少数者が間違いとか悪いという話ではない上に、セクシュアリティーは自分で選べる類いのものではなく「もともとその人にとってはそう」であるため、対立したり同一化したりするような話ではありません。

 ですから、セクシュアリティーの話題を扱う際には、少数か多数かではなく、各自のSOGI(ソジ)という要素で捉えていこうとするのが世界のスタンダードです。SOGI(Sexual Orientation/Gender Identity)とは自分をどのような性と認識するか(性自認)と、どの性に恋愛感情を持つか(性指向)という要素で、身体の性を問いません。誰にでもそれぞれのSOGIがあります。あなたのSOGIはどう表されるでしょうか。

 多様性を認める社会の本質は、自分自身も多様性の一部であり、ひとごとではないという自覚にあると思います。来月のプライド月間も、そのきっかけのひとつです。(浄土真宗本願寺派僧侶・日本思春期学会理事 古川潤哉)

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<お坊さん・ふるじゅんの「生と性と死」>「性別はいろいろ、虹の色」