駐屯地予定地の土地売却が理事会で正式決定したことについて会見する佐賀県有明海漁協の西久保敏組合長=佐賀市の県水産会館

 佐賀空港への陸上自衛隊輸送機オスプレイ配備計画を巡り、駐屯地予定地の登記上の名義人である佐賀県有明海漁協(西久保敏組合長)は15日、理事会を開き、全会一致で土地売却を決定した。地権者でつくる管理運営協議会が1日の臨時総会で3分の2以上が売却に同意したことを受けたもので、西久保組合長は「大方が賛成した中、反対する理由がない」と説明した。

 防衛省が取得を目指す空港西側の用地約31ヘクタールは、南川副漁協(現・県有明海漁協南川副支所)の名義だが、内規で組合員ら地権者254人の持ち分を定める。

 理事会は非公開。西久保組合長によると、九州防衛局の伊藤哲也局長が理事会前に開かれた幹部らによるオスプレイ検討委員会の会合に出席し、協議会の臨時総会での議決に関する法的な見解を述べたという。西久保組合長は「『全員ではなく、3分の2以上の同意で問題はない』という話だった」と説明した。

 今後については「(駐屯地からの)排水問題以外に、漁期が近まってくればいろんな問題が出てくると思う。そこは防衛省に言って整理してもらいたい」と話した。

 関係者によると、理事会では、総会で反対した人への配慮や対応を求める声もあったという。

 漁協の理事会での決定を受けて、山口祥義知事は「地権者の皆さまの判断を尊重されたものであり、大変重い判断だと受け止めている」などとするコメントを発表。佐賀市の坂井英隆佐賀市長も「防衛省には工事に関する地元説明など真摯(しんし)な対応をお願いしたい」とのコメントを出した。(大田浩司、古賀真理子)