コロナ禍などを背景に生理用品の入手が困難な「生理の貧困」が社会問題となる中、佐賀市は、生理用品を渡すだけにとどまらず「食べることに困っている」「働くところがない」など根本的な課題に目を向けた支援方法を模索している。「どうすれば担当の窓口につなげることができるか」。物価高騰の影響も深刻化する中、試行錯誤を続けている。
市は2021年夏、市役所や民間の支援団体など相談窓口8カ所を記載したカードを女性用トイレに置き始めた。当初15カ所だったが、「より多くの女性の目にとまるように」(男女共同参画課)と全公民館など95カ所に広げた。
市は、生理の貧困の問題は経済的困窮だけでなく、家庭内暴力や虐待などが潜むケースもあると分析し、「適切な窓口につなぐことが必要だと思った」と担当者は話す。来庁者が持ち帰ったカードはこれまでに1300枚を超える。男女共同参画課は「困難を抱える女性に、相談窓口を周知する効果は一定あった」とする。一方、相談に結び付いた件数やその内容については把握できていない。
22年5月には、コロナ禍に加えて急激な物価高騰を受ける形で対策を強化。生理用品と引き換えることができるカードを市青少年センターなどに置いた。生理用品を渡す際には、「必要になった理由」「相談の希望」などを尋ねるアンケートへの協力も任意で依頼している。市議会一般質問で出された議員からの提案もくみ取る形で、今年3月からは本庁舎のトイレ6カ所にも拡大。引換券は11件の利用があった。
男女共同参画課の北御門智子課長は「困っていることがあっても、どこに相談して良いか、そもそも相談して良いことなのかも分からないという声もあるため、相談がしやすい環境づくりを心がけた」と話す。今後については「アンケートに記入していただいた貴重な声から課題やニーズをくみ取り、必要なことを考え続けていきたい」と話す。(川﨑久美子)