鳥栖市在住の直木賞作家原尞(はら・りょう、本名・原孝=はら・たかし)さんが4日夜、病気のため、福岡県小郡市の病院で死去した。76歳。葬儀は家族葬で行った。
1946年、鳥栖市生まれ。九州大文学部美学美術史科卒。70年代はフリーのジャズピアニストとして活躍。30歳ごろから翻訳ミステリーを乱読し、ハードボイルド探偵小説を確立した米国の作家レイモンド・チャンドラーに心酔した。
88年に東京・西新宿に事務所を構える私立探偵・沢崎が主人公のハードボイルド小説「そして夜は甦る」でデビューし、山本周五郎賞候補に。89年の第2作「私が殺した少女」で直木賞を受賞した。90年7月から半年間、佐賀新聞でエッセー「観た・聴いた・読んだ」を連載した。
その後、長編「さらば長き眠り」「愚か者死すべし」を発表。前作から14年ぶりの2018年3月に刊行したシリーズ第5作「それまでの明日」が遺作となった。
「それまでの明日」は、「ミステリが読みたい! 2019年版」「このミステリーがすごい! 2019年版」の国内編ランキングでともに第1位を受賞。日本推理作家協会賞にもノミネートされた。(古賀史生)