故人の思いをつなぐ「鹿島レガシー基金」から助成を受けた団体のメンバーら=鹿島市浜町の傍楽庵

 「亡くなったら地域のために遺産を役立ててほしい」-。故人の思いを受けて設立された「鹿島レガシー基金」の助成金贈呈式が21日、寄付された民家を改修した鹿島市浜町のコミュニティー施設「傍楽庵(はたらくあん)」であった。肥前浜宿の空き家活用に取り組む団体などに計100万円が贈られ、地域振興や文化活動に役立てられる。

 基金は2021年4月、94歳で亡くなった鹿島市の故中島鈴子さんの遺贈寄付をもとに設立した。日本舞踊を教えていた中島さんは、末期がんを患って身寄りもなかったため、生前に「空き家にして地域に迷惑をかけたくない。遺産は地域に役立つ活動に使ってほしい」と、自宅や遺産を佐賀未来創造基金(山田健一郎代表理事)に寄付した。傍楽庵は災害ボランティアの拠点としても活用されている。

 贈呈式で山田代表理事は「住居や遺産だけでなく、文化を大事にしてきた思いも鈴子さんから預かっている。人生最後の意思決定である遺贈寄付を地域のために役立ててほしい」と述べ、4団体に助成金を手渡した。肥前浜宿の空き家調査を行う「PROJECT HAMA」の島崎雄輔副代表は「大好きな肥前浜宿のため、思いを大事に使わせてもらいたい」と感謝した。

 他の助成先は「総合スポーツユニオンブリュー鹿島」(鹿島市)、「NPO法人日本鷹馬文化顕彰会」(武雄市)、「スタジオ有明の月」(鹿島市)。同基金の助成は今後も行われる。(山口源貴)