織り台の違いや変遷を解説する佐賀大の石井美恵准教授(左)=佐賀市のアバンセ

 佐賀錦の歴史を紹介する講演会が22日、佐賀市のアバンセであった。佐賀大学芸術地域デザイン学部の石井美恵准教授が「佐賀錦の歴史物語」の題で話し、豊富な資料を基に、佐賀錦と鹿島錦の織り台の変遷や伝承の意義をひもといた。

 佐賀錦と鹿島錦は、鹿島藩第9代藩主鍋島直彜(なおのり)の妻・篤子(1799~1877年)が起源とされる。織り台は、平たい板に和紙を張る「平板」、板の両脇にへりを付けた「中台」、裏側に糸巻きが付いた「巻き台」があり、石井准教授は過去の新聞や雑誌の記事から、継承者それぞれがどんな織り台を使っていたかを解明した。

 女性の奉公人にも技術を伝えた篤子の熱心さに触れ、ドイツの教育者フレーベルが開発した教育玩具との共通点も紹介。その上で「佐賀錦は構成力や忍耐力などの醸成に良い教育ツール。学生たちに教えるのにもふさわしい郷土の無形文化財」と語った。

 聴講した同市の古川かをるさん(65)は「高貴な方の妻が奉公人の教育にも尽力した佐賀はすごい」と話した。(花木芙美)