春に花壇や庭を彩るチューリップはユリ科の球根植物です。3~5月ごろ、20~70センチの直立した茎の先に赤や黄、ピンクなどの花を咲かせます。形も八重咲きやユリ咲きなどさまざまです。
原産地はトルコですが、17世紀のオランダでは「チューリップ狂時代」と呼ばれる大ブームが巻き起こりました。多くのチューリップの収集家や愛好家が現れ、膨大な数の園芸品種が作り出されると、その球根が高値で取引されるようになります。この流行はフランスにも伝わり、宮廷の貴婦人たちは競ってこの花を胸につけたそうです。
生薬名は欝金香(うっこんこう)といい、花と鱗茎(りんけい)に鎮静作用があります。しかし全草に有毒成分が含まれており、皮膚炎やおう吐、呼吸困難を引き起こすため現在は使われていません。(中冨記念くすり博物館)