昨年12月に他界した二科会写真部佐賀支部の藤田正次さんの遺作展が、佐賀市大和町松瀬の湛然(たんねん)の里ギャラリーせせらぎで開かれている。23日まで。
藤田さんは唐津市相知町出身。1975年に同佐賀支部を立ち上げた。二科展での入選、入賞を重ね、2014年には特別会員になった。県内の祭事や自然風景、長崎の異国情緒をテーマに撮影を続けてきた。
73年の二科展での入賞作は、長崎で撮ったもの。白い十字架が並ぶ墓に、白いハトがたたずみ、平和を想起させる。沖縄県の宮古島や石垣島にもよく足を運び、鮮やかなコントラストで海や空、雲を捉えた。
唐津くんちの光景や、長崎のステンドグラスに照らされた光や影を生かしたものなど、独特の空気感を感じさせる作品が並ぶ。長男の晶司さんは、幼い頃、暗室代わりの風呂場に入って注意された思い出を語り、「父の作品は全てフィルムで、自分で現像したもの。デジカメでは出ない風合いを楽しんでもらいたい」と話す。(福本真理)