佐賀県内の書店の閉店が相次いでいる。店舗数は1990年代初めの140店近くをピークに右肩下がりが続き、現在は3分の1以下の約40店にまで落ち込んでいる。活字離れやネット書店の台頭、人口減など複合的な要因が重なり、苦境に立たされる地域の本屋の実態が浮かび上がる。

 3月には、佐賀市の宮脇書店佐賀本店とTSUTAYA医大通り店が閉店した。全国でも書店は2000年に2万1千店程度だったのが20年で約1万店と半減している。県書店商業組合の堤洋理事長は「本を読む人が減っていることが一番の原因」と痛感する。

 出版科学研究所の統計では、書籍と雑誌の売り上げは96年に2兆6564億円を記録し、翌97年に初めて前年割れとなった。以降は下がり続け、2021年までの25年間で1兆2080億円に減少した。ベストセラーによる買い支えがある書籍は3割減に対し、雑誌は7割減まで落ち込んだ。

 読書の形態が電子書籍に移った面も。電子出版の統計が確認できる2014年から販売額は右肩上がりが続き、21年は4662億円となっている。ただ、9割を電子コミックが占め、書籍は1割にも満たない。

 堤理事長は地域の書店の生き残り策として「学校の教科書や図書館の納入ができれば。ただ、ハードルが高い」と指摘する。図書館に納入する際、書籍が汚れないために貼るフィルム(装備)を施すのが必要なケースは多い。1冊当たり200~250円の経費は自己負担となって「実質の値引きと同じ」で、装備代を取らない大手が引き受けやすいという。

 全国では図書館資料の納入を東京の業者から地元書店に切り替える事例もある。堤理事長は「本屋が生き残るために、地域で循環する仕組みが重要。このままでは生き残ることができず、教養も育まれなくなる」と話す。(福本真理)