赤ちゃんは本当に不思議な存在です。どれだけ眺めても飽きることがありません。ギリシャ神話の有名なスフィンクスのなぞなぞ、「朝は4本足、昼は2本足、夕は3本足、この生き物は何か」をご存じですか。正解は人間で、赤ちゃんから老人までの人生の段階を表しています。
ところで、牛や馬などの動物は生まれて1~2時間で歩くのに対して、人間の赤ちゃんがハイハイをするのは生後8カ月から10カ月です。それまでは、自分で移動することができません。人間は、他の哺乳類に比べ1年早く、無能力で無防備な状態で生まれます。そのため十分な世話がなければ生きることができません。けれども、家族や社会のなかで手間暇かけて大切に育てられるからこそ、文化や文明を発展させることができるのです。
生まれたばかりの人間の赤ちゃんは、ぐにゃぐにゃしていて頼りなく、扱いにくい存在です。生後3カ月から4カ月で首がすわり、5カ月から7カ月で寝返りし、支えなしで座ることができます。8カ月を過ぎるとハイハイ、つかまり立ち、つたい歩きへと進み、12カ月から18カ月ごろには一人歩きができます。姿勢や運動機能は未熟でも、脳は発達していて人間の顔や声には反応します。2カ月ごろにはアーとかウーとかの声を発します。成長は目まぐるしく、さっきまではできなかったことが、一瞬にしてできることがあります。親でなくても赤ちゃんの成長の瞬間に立ち会うのは楽しく、感動する体験です。
とはいえ育児に正解を探し、不安に襲われている方が多いようです。それは、現代のパパやママが赤ちゃんのことについて学び、経験する機会が少ないからです。ちょっとしたことでも、どんどん助産師に聞いてみませんか。「大丈夫だよ」「頑張ってるね」などと励ましながら、赤ちゃんのこと、育児のコツを教えてくれます。正解を探して悩むのに時間を割くのではなく、周囲の人の手を借りて、自分に合っている育児法を探しませんか。
(一般社団法人ヘルスサポーターズ・イノベーション理事 佐藤珠美)