国営諫早湾干拓事業(長崎県)で漁業被害を受けたとして、諫早湾内の長崎県の漁業者らが国に潮受け堤防排水門の即時開門を求めた訴訟で、漁業者側は11日までに、開門を認めなかった一審長崎地裁判決を支持し控訴を棄却した福岡高裁判決を不服として最高裁に上告した。10日付。

 長崎県の漁業者が2010年と11年に提訴した第2陣、3陣の訴訟。高裁判決では、「事業が諫早湾の漁場環境の悪化を招いた高度の蓋然がいぜん性がある」とした一方、事業は高い公共性や公益性があることや「開門による干潟の再生効果は限定的との指摘がある」などとして開門は認めなかった。

 第1陣の訴訟は2019年に最高裁で「非開門」の判断が確定し、漁業者側が敗訴している。(中島幸毅)