「地域みらい留学」の仕組みを使って県外から入学してきた有田工業高1年生6人=有田町の幸楽窯

 有田町の有田工業高にこの春、県外から6人の生徒が入学してきた。主に都会に住む中学生が地方の高校に進学する「地域みらい留学」の仕組みを利用した生徒たちで、3年間を有田で学び、成長していく。7日に入学式があり、これから始まる高校生活への期待に胸を膨らませた。

 地域みらい留学は、少子化に悩む地方の公立高が全国から生徒を受け入れる取り組みで、島根県での成功例をきっかけに全国に広がっている。佐賀県では有田工業高が2021年度から一般財団法人「地域・教育魅力化プラットフォーム」(島根県)を通して募集を始め、22年度は受け入れゼロだったが、本年度は6人が留学してきた。

 生徒の出身地は東京都2人、埼玉、広島、福岡、鹿児島県が各1人。4人がセラミック科、2人がデザイン科で学び、町が紹介した一般家庭やアパートなどで暮らす。

 広島県から来た岡崎優(ゆう)さん(セラミック科)は、所属していた硬式野球チームの監督に同校への進学を勧められた。「昨年の夏に見学に来て、この環境で甲子園を目指したいと思った。焼き物の勉強も頑張りたい」と抱負を語る。福岡県の馬場日向(ひなた)さん(デザイン科)は「3年間きっちり勉強して自分のデザインを見つけること」が目標だ。

 入学式後に生徒と保護者、受け入れ側の交流会が幸楽窯であり、山崎哲也校長(54)が「この地で高校生活を謳歌(おうか)してほしい。来てよかったと思えるように協力していく」とあいさつ。岡崎さんの母舞子さん(38)は「まずは周りに迷惑をかけないで過ごしてほしいと思う。送り出すのは寂しいけど、子離れしないといけませんね」と話した。(青木宏文)