聞き書き甲子園でファミリーマート特別賞に輝いた小宮妃奈さん=唐津市の唐津南高

 高校生が森や川、海など自然と共生する「名人」を取材し、知恵や技、生きざまを記録する「第21回聞き書き甲子園」で、唐津南高3年の小宮妃奈(ひな)さんが優秀作品の「ファミリーマート特別賞」に選ばれた。熊本県八代市で特産品作りに取り組む女性に話を聞き、伝統を受け継ぐ思いをまとめた。

 聞き書き甲子園は農林水産省や文部科学省、環境省などでつくる実行委員会が主催。全国から選ばれた高校生96人が参加し、1次産業に取り組む名人を訪ねて知恵や技を聞き書きし、記録する活動に取り組んだ。

 小宮さんは八代市坂本町鮎帰地区の特産品「かずら豆腐」を手がける生活研究グループ「鮎帰会」の代表を務める亀田宏子さん(62)を取材した。

 100個の質問を準備し、2022年9、11月の2回、現地を訪れた。作り手が減る中、20年7月の豪雨で同市をはじめ球磨川流域では甚大な被害が発生し、豆腐作りの再開までに約2年かかった苦悩に触れた。一緒に作業をしたり、販売する機会にも恵まれ、「伝統を守りたいという熱い思いを感じた」

 受賞者らが活動を振り返るフォーラムが3月26日、東京大で開かれ、小宮さんは亀田さん、作家・塩野米松さんとのトークセッションに臨んだ。亀田さんは「後継者不足や被災でやめようと思った時もあったが、求めてくれるお客さん、妃奈ちゃんのように思いを持って訪ねてくれる人を大事にしていきたい」と語った。

 小宮さんは同校で虹の松原のマツを使ったクッキーやジンなどの商品開発に取り組んでおり、「失敗を恐れずに挑戦する大切さを教わった。亀田さんのように、思いがあふれる商品をつくりたい」と気持ちを新たにした。(松岡蒼大)