出産前後に亡くなった赤ちゃんのために、小さいサイズのベビー服を作っている佐賀県内のグループがある。死産などを経験した女性らが活動を始めて8年。「悲しい中にも温かい思い出を残してほしい」と、家族に贈っている。高校生も協力し、このほどベビー服を佐賀市内の病院に届けた。
グループは「にこにこ257(にこな)の会」(川島聡美代表)。きっかけは2014年、メンバーの1人が経験した死産だった。発育が遅れた小さな赤ちゃんにとって、市販のベビー服は大きかった。ぴったり合ったかわいい服を着せ、送り出したい-。そんな思いから活動を続け、これまで約300着を病院や希望があった家庭に贈った。
高校生とも関わりを持つようになり、昨秋には佐賀女子高(同市)での講話を引き受けた。学校は人権教育の一環で「命の尊さを考えてもらえれば」と企画した。「待ち望んだわが子は泣き声を上げなかった」。女性4人が死産や子宮外妊娠などの経験を全校生徒に語り、「つらい中でも、できることを探してきた」と伝えた。涙を流しながら聞く生徒の姿もあった。
佐賀商業高定時制(佐賀市)の生徒たちも昨年、選択授業を通じてベビー服を手縫いし、同会に贈った。
川島さんは「これからもわが子を亡くした親に寄り添い、『一人じゃない』ということを伝えていきたい」と話す。問い合わせはにこなの会、niconico257nokai@gmail.com
(中島幸毅)