国土交通省は28日、武雄市や嬉野市を流れる六角川を、九州の河川では初めて特定都市河川に指定した。浸水被害防止のために開発を規制できるほか、流域で内水調整池や遊水公園を整備する場合は、国の補助を受けられる。2019、21年と短期間で2回の浸水被害に遭った武雄市は昨年11月、指定を申請することを表明していた。
指定区間は六角川の22キロ地点(武雄市北方町椛島橋付近)から上流で、嬉野市塩田町の一部も含まれる。支流も合わせると計33河川あり、流域面積は約99平方キロメートル。武雄市内の約半分のエリアが対象となる。国交省は指定に向け武雄、嬉野両市と佐賀県に対し1月から意見聴取をしていた。
指定を受けると、六角川に雨水が流れ込む地域で宅地開発など千平方メートル以上を開発する場合は、雨水を貯留、浸透する対策として雨水貯留槽の設置や透水性舗装などの対策が義務付けられる。整備には国の補助が受けられる場合もある。武雄市も独自に補助金として23年度予算に1450万円を計上した。
規制と合わせて今後、武雄市内で遊水地や調整池をつくる場合は国が補助する。特に武雄市は内水氾濫を防ぐため六角川に水を流さず一時的にためる内水調整池の整備が急がれており、国の補助を受けることで事業のスピード化が期待できる。地域からの要望が強い遊水公園の整備も補助対象になる。
佐賀県庁で指定確認書の調印式に臨んだ小松政市長は「特定都市河川の指定が治水対策の切り札としてきた。開発と治水のバランスを取りながら、床上浸水ゼロに向けた取り組みを強化したい」と話した。
今後は武雄、嬉野両市と県、国交省武雄河川事務所の4者で流域水害対策協議会をつくり、23年度中に内水調整池の整備などを盛り込んだ水害対策計画をまとめる。(澤登滋)