本野克彦コレクション展で梧竹堂法帖を鑑賞する小城高と佐賀北高の書道部員ら=小城市の中林梧竹記念館

故本野克彦さん(提供写真)

 小城市は、同市出身で「明治の書聖」と呼ばれた中林梧竹の多数の作品を寄贈し、市内の中林梧竹記念館の名誉館長を務めた故本野克彦さん(享年88)を市民栄誉賞第1号に認定した。同館で開かれている「本野克彦コレクション展」に合わせて、本野さんの家族に表彰状が授与された。

 千葉県出身の本野さんは戦時中、旧小城町の母の実家に疎開し、桜岡国民学校、旧制小城中に通った。戦後、東京で会社経営の傍ら、梧竹の作品をはじめ佐賀県と関わりのある美術品や歴史資料などを収集し、約750点を小城町と小城市、県に寄贈した。

 市民栄誉賞の授与式には、本野さんの家族ら9人が出席。江里口秀次市長は「熱い思いを持って収集された梧竹の作品は小城の宝。末永く守っていきたい」と謝辞を述べた。長男の陽彦さん(57)は「父は、温かく優しい小城の皆さんが大好きだった」と話した。

 寄贈品を紹介するコレクション展は第1期(5月28日まで)と第2期(6月3日~9月3日)に分けて開催。第1期では、梧竹の名筆など55件と小城ゆかりの「偉人」などに関連する30件を展示している。開幕した18日には、梧竹が中国留学時代に収集して生涯の創作の原点となった石碑の拓本「梧竹堂法帖(ほうじょう)」が特別に公開され、小城高と佐賀北高(佐賀市)の書道部員約20人が鑑賞した。

 佐賀市の県立博物館・美術館や佐賀城本丸歴史館でも、寄贈記念展を5月14日まで開催している。(市原康史)