体外診断用医薬品メーカーのミズホメディー(鳥栖市)は、2期連続で増収増益の好業績を受け、診断薬の開発へ新工場建設の検討を進めている。新型コロナウイルスの検査については感染症法上の位置付けの「5類」移行後も、院内感染防止のための入院・手術前検査など一定の需要があるとみている。
今年2月に発表した2022年12月期決算(売上高175億8100万円、経常利益110億7千万円、純利益78億3800万円)に関するオンライン説明会で、唐川文成社長らが明らかにした。
インフルエンザ検査薬がけん引してきた業績は、コロナ禍で流行が低水準になり、20年12月期決算は減収だった。その後、卓上PCR機器「スマートジーン」とコロナ検査キットの需要が売り上げを押し上げ、21、22年の2期連続で大幅な増収増益となった。
唐川社長は今後の戦略として「診断薬の開発をさらに進めたい。外国にないものを狙っている。そのための工場を造ろうと企画を進めている」と新たな診断薬開発に言及した。
迅速に検査結果が得られる「スマートジーン」とその検査キットに関しては、今村正常務が「クリニックで遺伝子検査を広めていくというコンセプト。まだ行き渡った状況ではない」と述べた。その上で、検査を外部に委ねている泌尿器科などをターゲットに診断項目を増やして需要を目指す考えを示した。
新型コロナの診断では、次期は今期よりも減少するものの、一定の需要を見込む。PCR検査は通常の判定だけでなく、院内感染防止の需要を想定。コロナとインフルエンザの抗原同時検査キットは「5類」移行後は開業医に広がっていくと予想し、需要は底堅いとみている。(古賀真理子)