「どうしてこんな結果に」-。鳥栖市の住宅で長男(19)が両親を殺害した容疑で逮捕された事件では、50代の父親と40代の母親が命を落とした。親交があった人や地域の住民らは亡くなった夫婦を悼み、声を落とした。県警は14日、長男の福岡市の自宅を捜索した。犯行の動機につながるものがないか調べる。
周囲の規制線が解かれた住宅の前には、多くの花が手向けられた。亡くなった母親と親交があった女性も献花に訪れ「とにかく人当たりが良くて明るかった。細やかな気配りができる人だった」と振り返り、「今にも玄関から出てきてくれそうで」と涙を流した。
父親は昨年10月まで、現在は福岡県に本社がある運送会社の代表取締役を務めていたという。
近隣住民の一人は「引っ越してきた時、家族でバーベキューをしたこともあった」と話す。「最近は、コロナもあって会う機会は減っていたけど…。娘さんの今後が心配」と案じた。
事件は9日夕、居間に倒れている両親を見つけて10代の娘が119番した。長男の逮捕容疑は9日、鳥栖市の実家で父親と母親を刃物で切り付けるなどして殺害した疑い。
教育委員会によると、娘が在籍していた学校にカウンセラーを配置し、在校生へのケアを行っている。関係者は「初めてのケースで、私たちも最適な対応を探しながらになる」と話す。(取材班)