門出の季節に合わせ、小城市の牛津小の中庭に大輪の桜の花が登場している。用務員の光石和敏さん(66)による「高圧洗浄機アート」で、地面に咲いた6輪の花は小学6年間の成長を表している。縁の下の力持ちとして子どもたちを見守ってきた光石さんは「めーめー泣きよった子が、立派になって卒業していく」と目を細める。
光石さんは障害者福祉施設勤務を経て、2017年度から用務員として市内の牛津中で働き始めた。タイルなどを高圧洗浄機で掃除する際に「ただきれいにするだけではつまらない」と考え、前職で草刈り時に絵を描いていたことを思い出し、“アート”に挑戦した。
20年度から勤務している牛津小でも続け、プールサイドにはクジラやムツゴロウ、イルカ、ヒマワリの絵も。作品数は10点近くになっている。
今回、中庭に桜の花と校章、同校の児童たちを表す「津保美(つぼみ)」の文字を描いた。これまでも、卒業式の日に絵のそばで写真を撮る児童と保護者の姿があったという。「少しでも笑顔になってくれたらうれしい。親や先生、地域の人たちへの感謝を忘れないでもらえれば」と願う。
「周りがきれいな方が絵が映える」と光石さん。74人が学びやを巣立つ17日の卒業式本番に向け、周囲の汚れを落とす作業に打ち込んでいる。(大橋諒)