「勝ちに行く気持ちがすごく出ていた」。今季最長の2時間43分の死闘を終えた平山詩嫣は、一丸でもぎ取った1勝を誇らしく振り返った。堅実なブロックでスパイクのコースを限定し、サーブでも相手に圧をかけた。数値に表れないプレーで貢献した22歳を、酒井新悟監督は「いい仕事をしてくれた」とたたえた。
先にセットを奪われて迎えた第2セット。酒井新悟監督は「ばたついた状況を修正してほしい」と平山を起用した。指揮官の思いを受け止めた22歳は、前衛では相手のスパイクに何度も飛びつき、後衛に回ってもコートに落ちそうなボールに食らいついた。
落とせない第4セット中盤にはサーブで相手を崩した。「欲張らない。1本に集中する」。17―18から5連続得点で逆転に成功し、そのまま振り切った。「泥臭く、最後まで負けない」気持ちを前面に出した。
今季序盤は先発出場が続いたが、1月の埼玉上尾戦の第3セット以降はベンチから戦況を見守る時間が長く、「コートに立つ選手としての自覚が出てきた」。総合力が着実に上がっていると感じる。
ファイナルステージ進出に向けて負けが許されない2位埼玉上尾との一戦。フルセットを制して手にした白星は大きな意味を持つ。「大事な試合だけど気負うことはなく、どう戦うかを明確にできた」と平山。最高の景色を見るため、残り3戦も強い責任感でチームをけん引し続ける。(小部亮介)