子どもたちに地域の伝統や魅力を知ってもらおうと、嬉野市塩田町の大草野地区地域コミュニティ運営協議会(宮﨑政明会長)はガイドブック「大草野お宝48」を制作した。史跡や自然、産業など48カ所の歴史や見どころを紹介。大正から昭和初期の16年間だけ運行していた肥前電気鉄道の停車場跡なども掲載し、大切にしてきた地域の歴史を掘り下げた。
ガイドブックは「大草野の未来へ残したい“もの”」をコンセプトに、協議会のメンバーらが48の「お宝」を選定した。田畑を潤してきた塩田川の板井手堰(せき)や名物のウナギのかば焼き店、10軒ある陶土会社の歴史などを写真と地図付きで紹介している。A5判62ページで、地区内の全900戸と小学校に配布した。ガイドブック片手に散策を楽しめるよう、各地に案内版も設置している。
7日にはメンバーの案内で、大草野小2、3年生が塩田川周辺を見学した。肥前電気鉄道の停車場跡地では、当時を知る山下義男さん(96)から思い出を聞き、古里の歴史に思いをはせていた。3年の吉田陽菜さんは「昔は電車が通っていたり、すごい歴史が残っているんだなとびっくりした」と感心していた。
宮﨑会長(77)は「人口減少が進み、地域の大切なものが忘れら去られようとしている。子どもたちが地域に興味を持つきっかけになり、歴史と伝統の担い手になってくれればうれしい」と話した。
ガイドブック制作には県の「さが未来アシスト事業補助金」を活用した。(山口源貴)