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そこが知りたいオスプレイ計画(1) 配備、何のため

国策と地方 第12章

2016年11月15日 09時45分

水陸両用訓練で海上を進む陸上自衛隊相浦駐屯地のゴムボート=長崎県佐世保市の相浦海岸(2015年7月16日)
水陸両用訓練で海上を進む陸上自衛隊相浦駐屯地のゴムボート=長崎県佐世保市の相浦海岸(2015年7月16日)

■水陸機動団の輸送手段

 佐賀空港への自衛隊新型輸送機オスプレイ配備計画を巡る動きは、防衛省が駐屯地の施設配置案や演習場への飛行ルートを例示するなど計画の全体像が見え始め、米軍機によるデモフライトも実施された。一方で情報不足や説明不足を指摘する声は根強い。なぜオスプレイが佐賀空港に配備されるのか。住民の疑問を改めて探り、論点を整理する。

   ◇     ◇

 防衛省はオスプレイを、2017年度末に佐世保に新設する「水陸機動団(仮称)」の輸送手段と位置付けている。では水陸機動団とは何か。南西諸島などの島しょ防衛のために創設される特別な部隊で、「日本版海兵隊」ともいわれる。

 現在、佐世保市の陸上自衛隊相浦駐屯地にある西部方面普通科連隊(700人規模)は、ゲリラや特殊部隊などによる島しょ部への侵略行為や災害派遣に対応する。島しょ部での作戦展開のノウハウを持つ部隊を軸に、(1)着上陸する部隊(2)水陸両用車を運用する部隊(3)火力によって上陸を支援する部隊-などで構成する3千人規模の専門部隊に発展させ、水陸機動団として配置する計画だ。

 13年に閣議決定した防衛大綱では、弾道ミサイル開発を進める北朝鮮の軍事的挑発行為や軍の艦艇、航空機による太平洋への進出を常態化させている中国の脅威を強調している。その上で「島しょへの侵攻があった場合に速やかに上陸・奪回・確保するための本格的な水陸両用作戦能力を新たに整備する」とした。

 米海兵隊は、水陸両用作戦に必要な着上陸、火力支援、海上輸送などの各種機能をバランスよく保有しており、自ら水陸両用作戦を行うことができる「自己完結型」だが、水陸機動団は航空・海上自衛隊の部隊と統合運用が必要になる。

 上陸作戦を担う部隊、水陸両用車を運用する部隊のほか、偵察、通信、施設、後方支援、教育など役割ごとに部隊を編成。相浦駐屯地のほか、大分・玖珠駐屯地にも水陸両用車を運用する部隊を一部配置する。

 部隊で運用する装備の一つがオスプレイだ。そのほかに水陸両用車AAV7を導入する。オスプレイは17機、AAV7は52両で、取得費用を16年度政府予算から単純計算すると、オスプレイが1機当たり110億円ほど、AAV7は約7億円になる。

 オスプレイは、主翼翼端のプロペラの角度が変わることで垂直離着陸ができる特殊な構造のため乗員の訓練も必要で、訓練費用や予備の部品なども含めると費用が1機当たり200億円に及ぶとの指摘もある。

 部隊創設に否定的な見方をする専門家は少なくない。軍事評論家の田岡俊次氏は「水陸機動団は尖閣諸島が占領された場合に奪還を目指すが、離島の攻防の決め手は航空優勢(制空権)だ」と強調、「敵の制空権下の海上を島に向かう輸送艦とオスプレイはおそらく全滅する」と言い切る。

 「逆に味方に制空権があれば、敵は攻めて来られず、隙を見て上陸したとしても補給を断てば降伏する。オスプレイやAAV7を購入する金でレーダーに映りにくいF35戦闘機を約20機追加購入する方がまだ合理的だ」と指摘する。

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