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10年後の開業へ向け着工した九州新幹線長崎ルート。一般記事のほか特集で問題点や課題を整理

 長崎新聞「九州新幹線長崎ルート」特集へ
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トップ |長崎ルートニュース |連載・特集
長崎新幹線着工特集【2】

 

鹿島市や杵島郡江北町など、並行在来線沿線自治体の反対で長く膠着(こうちゃく)状態が続いた九州新幹線長崎ルートが起工式を迎えた。西九州発展への期待や費用対効果に対する疑問など、今も賛否が交錯する中、県内各界の代表や関係者らにそれぞれの思いを聞いた。

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枝吉順佑氏

(九州新幹線を活用する県協議会会長)

交流人口増を期待

 地方の経済情勢が冷え込んだ中、これだけの大型プロジェクトに予算がつくことは非常に大きい。日本列島の西の端にあたる地理的なハンディを解消するだけでなく、アジアや世界からの交流人口の増加、二酸化炭素削減による環境への効果まで期待できる。2011年の鹿児島ルート全線開通に向け、西九州ルートをどうリンクさせていくかを考えていきたい。

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原口義己氏

(県議会自民党西九州ルート促進懇話会会長)

将来喜ばれるはず

 国の予算がつきながら未執行の状態が続いたが、もし実現できなければ県と中央の関係が崩れてしまうという危機感があり、県議有志で活動してきた。県民には建設反対の声も根強い。十分に理解されたとは言えないが、20年、30年先には「できてよかった」と喜ばれるはずだ。全国の先陣を切って導入されるフリーゲージトレインも誇りを持っていい。

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中野吉實氏

(JA佐賀中央会会長) 

農業に影響少ない

 農協としては当事者ではないので何とも言えないが、農業に大した影響があるとは思えない。飛行機は短時間で大量の物を運ぶので空港開港に期待感があった。実際にイチゴやアスパラガスといった軽くて高い農産物を空輸しているが、新幹線は貨物列車とは違う。通り過ぎると何にもならない。長崎だけでなく、武雄や嬉野にも効果が出るようにしてほしい。

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牛嶋博明氏

(県議会県民ネットワーク代表)

県民の理解不可欠

 県民の理解が熟していない中での着工は時期尚早。ばく大な投資を伴う大型事業は、まずは県民の理解が不可欠だ。佐賀にとって時間短縮はわずか5分。そのために2600億円も投資する価値があるのか。1度は否決されたが、やはり県民投票条例をつくって県民の判断を仰ぐべきだ。たとえ杭が打たれても、本当に必要かどうかの論議は続けていく。

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愛野克明氏

(県議会自民党西九州ルート促進懇話会会長)

観光効果の波及を

 佐賀は性格の異なる2つの海や温泉といった自然環境に恵まれており、日本有数の観光県になりうると自負している。嬉野市など鉄路が整備されることで、周遊型の観光プランが立てやすくなる。新幹線を沿線地域だけでなく、鹿島市や唐津市など周辺にも観光効果が波及するよう佐賀の魅力をアピールしたい。韓国や中国、台湾からの観光客も増やしたい。

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馬渡洋三氏

(武雄商工会議所会頭)   

官民で地域振興へ

 開業が観光客増加につながることを期待しているが「一見(いちげん)さん」ではなくリピーターをいかに生み出すかが課題。来訪者に鮮烈な印象を残すためにも、名物料理や土産品といった商品開発などソフト面の充実を図らなければならない。武雄では新幹線を活用した地域振興について考える組織が発足する。官民一体で「10年後」へ準備を進めたい。

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山口保氏

(嬉野温泉旅館組合理事長)

温泉魅力磨きたい

 交通アクセスの整備は観光客の呼び込みに必須の条件。念願の着工が決まって期待は膨らんでいる。新幹線が本州から博多までつながった時、嬉野の旅館も宿泊客が大幅に増えるなど九州全体に効果をもたらした記憶がよみがえる。今後は各旅館の個性や嬉野温泉の魅力をさらに磨き、宿泊客の多様なニーズに応えることでより大きな開業効果を目指したい。

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岸本剛氏

(県建設業協会会長)

提案や企画力重要

 公共事業が削減される中での大型プロジェクトは、直接投資分だけでも期待は大きい。しかし、それ以上に期待しているのは、新幹線で各地域が活性化されること。新駅周辺に店舗が建設されるなど、町が変わることによって民間需要が発生することが大きい。今後は価格競争だけでなく、町づくりへの提案や企画力が重要で各企業も努力が必要になってくる。

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橋本康志氏

(鳥栖市長)                  

1日も早く開業を

 新鳥栖駅は長崎ルートの分岐駅としてできた経緯があり、1日でも早く営業を開始していただきたい。新たな国土軸に佐賀、長崎が載るのは有意義なこと。新幹線を活用して新たなまちづくりに励みたい。当面、新鳥栖駅が長崎への窓口になるが、今年中に活用と広域連携プランをつくり、九州売り込みのキャンペーンへつなげていきたい。

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秀島敏行氏

(佐賀市長)                                                                             

観光素材活用図る

 費用対効果など反対論にも理解できるが、将来を考えると、新幹線が来るという前提でまちづくりを進めるべき。地元にいれば見過ごしてしまう、例えば県庁周辺のお堀の景観など他県の人にアピールできる素材はゴロゴロしている。自治体間競争は今後激しくなるばかりだ。既存の素材を最大限活用し価値を高め、佐賀の魅力を精いっぱいPRしたい。

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樋渡啓祐氏

(武雄市長)                                        

沿線知名度も向上

 新幹線は人だけでなく土産物といったさまざまな「情報」も運ぶ道具。開通すれば、沿線都市の知名度も飛躍的に向上するはずだ。開業まで10年かかるといわれているが、新幹線を地域振興に役立てるためにも、その準備は急ピッチで進めていかなければならない。武雄温泉駅からの交通網整備や定住促進策など新幹線と絡めた施策の充実を図っていく。

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谷口太一郎氏

(嬉野市長)                     

連携深めて発展に

 起工式が嬉野市で開催されたことは大きな喜びで、また開業効果を生み出すという責任の重さもかみしめている。10年来の念願だった新幹線がいよいよ着工へと動きだす。新しくできる嬉野温泉駅の周辺整備や新幹線を生かした官民協働によるまちづくりを着実に進めていく。周辺地域との連携も深めながら、西九州の一体的発展につなげていきたい。

 

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桑原允彦氏

(鹿島市長)                                                                            

まちづくりに全力

 工事の安全をお祈りしたい。九州新幹線長崎ルート着工に、これまで反対してきた鹿島市民の気持ちを考え、嬉野市で開かれた起工式は欠席した。出村素明・副市長を代理として出席させた。新幹線着工について反対の旗印を降ろしており、新しいステージに入った。市民の目が、新しいまちづくりに向かうよう、市長として全力を注ぎたい。

 

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田中源一氏

(江北町長)                                                                            

フル規格しないで

 町民、県民の賛同を得ないままに着工が決まってしまったのは残念。特急が必ず停車している町の肥前山口駅はまちづくりに重要な役割を果たしている。もし計画がフル規格の新幹線に変更されれば、駅は普通列車が止まるだけになってしまうかもしれない。将来の町の振興のために、フル規格にせず現在の駅の利便性をそのまま確保するよう要望していきたい。

 

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坂本武典氏

(県商工会青年部連合会会長)                                                                           

魅力伝え活性化へ

 費用的にもったいないという人も依然多いが、せっかくできるのだからいい意味で活用できたらと考える。佐賀を通過点とせず、多くの人に降りてもらい"外貨"を落としてもらいたい。そのためにも佐賀の魅力を伝える努力が必要。バルーンや呼子のイカ、ガタリンピック、温泉などの魅力的な商品を有機的に結び付け、経済活性につなげられたらと思う。

 

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寺崎正俊氏

(JTB九州佐賀支店長)                                                                            

旅行者どう呼ぶか

 旅行業者にとって、交通網の整備は歓迎。人の交流が活発化すれば観光産業は潤う。新幹線開通で関西からの旅行者をいかに呼び込むかが課題。一部でもいいので嬉野と武雄両駅に止まるダイヤができれば、佐賀を温泉郷として全国にアピールできるのではないか。佐賀、長崎は連携し、「西九州は一つ」を合言葉に互いの観光資源を活用すべきだ。

 

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吉富定利氏

(「リフレッシュ・かしま」代表)                                                                           

鹿島の将来が不安

 新幹線着工に同意すれば、地域振興策を県から得ることができると希望を抱いていたが、すべてほごになり悔いが残る。鹿島市が17年間、新幹線建設に反対したのは一体何だったのか。鹿島は徐々にだが、あらゆる面で衰退している。鹿島の将来が不安でたまらない。観光客の誘致など新幹線を生かした地域振興を考えることが、鹿島にとって大事だと思う。

 

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久原正之氏

(「なし?会」会長)                                                                           

長崎線残す活動を

 みんなに祝福されるべき起工式ではあるが、「杭一本打たせない」と話していた古川康知事の言葉を思い出すと、心から祝う気にはなれない。JR長崎線沿線住民の意思をふみにじっての着工に怒りを感じる。住民が声を上げ続けないと、今後なし崩しに状況が悪くなる恐れがある。現状に近い形で長崎線が残るよう会の活動を続けていく。

 

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畑山敏夫

(佐賀大学経済学部教授、政治学)                                                                           

必要性分からない

 新幹線は高度経済成長期の公共事業。予算が細り、高齢者医療や介護、少子化など優先すべき課題が山積する今、なにゆえの大盤振る舞いか。必要性が分からないし、決定の過程も不透明だった。短縮効果や、得られる利便性はわずかなのに、経費はさらに膨らむ可能性がある。過剰な期待、幻想はかえって、地域再生や自力のまちおこしを阻害するだろう。

 

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樗木(ちしゃき)武氏

(福岡アジア都市研究所理事長)                                                                          

アジアの視点必要

 九州新幹線を考える上で必要なのはアジアの視点。中国や韓国、台湾で鉄道の高速ネットワークができつつある。遅ればせながら、九州でも鹿児島ルートが3年後にでき、長崎ルートのめどがつき、交通がラインでつながる。国境を越えた人の流れが加速的に増えていく中、新幹線を生かして観光やビジネス交流を増やしていくことが地域振興に欠かせない。

 

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井浦順爾氏

(福岡市佐賀県人会副会長)                                                                           

地域の足も守って

 福岡に来て45年以上たつが、ふるさとでシャッター街が増えていくのを見るのは寂しい。新幹線ができ、福岡への一極集中はさらに進むだろうが、佐賀の町が素通りにならないための地域おこしに本気で取り組んでほしい。また、在来線は地域で暮らす子どもたちにとって大事な交通手段。新幹線ばかりに目がいくが、地域の足もしっかり守ってほしい。

 
2008年09月19日更新

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