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| 第1部 家庭はいま<3>孤食の現実 (10年2月2日) | ||
塾通い、すれ違いの夕食
日がとっぷり暮れた佐賀市の学習塾。授業の合間の休憩に入り、張り詰めた空気が少し緩んだ。おなかをすかせた子どもたちが取り出したのは弁当やコンビニのおにぎり。食べ終わらないうちにチャイムが鳴り、子どもたちは食べ物をバッグにしまい込んだ。
子どもも忙しく かつて夕食は一日のうちで最も時間の制約がなく、家族全員で食卓を囲むのが当然だった。胃袋を満たすだけでなく、家族だんらんの場、しつけの場も兼ねていた。ところが、核家族化に加えて共働きが増加。子どもたちも塾や部活で忙しくなり、一人で食べる「孤食」が問題視されている。
「いま思えば、確かに異常でした」。佐賀市郊外に住む羽塚恭子さん(43)=仮名=は1年前をそう振り返った。当時小学6年の娘は中学受験を控え、塾からの帰宅は午後9時半過ぎに。空腹のまま勉強し、体を壊しはしないかと心配した。
「コンビニ弁当は栄養のバランスが偏りがち。防腐剤や添加物も気に掛かる。せめて手作りの弁当を持たせたい」。自宅の夕食と同じメニューを弁当箱に詰めた。
最初、娘は喜んでいたが、そのうち「持っていきたくない」と言い出した。弁当持参の友人がおらず、1人で食べにくいという。塾へ送る車内で食べさせたが、今度は「食べた気がしない」。娘の一言に、食べさせることだけに気をとられていた自分に気付いた。
それからは手作りのパンやマフィンを持たせ、空腹時に取らせた。「1人では食べにくい」と言われ、友人の分も準備した。本格的な夕食は帰宅後。野菜中心に消化のいいメニューを心がけた。
深夜型の生活に
ただ、羽塚さんのように思い悩み、実行するのは少数派だろう。忙しい生活の中で、遅い時間に食べるのが当たり前になり、深夜型の生活リズムに陥っていく子どもは多い。
塾や部活でなくても、親の帰りが遅ければ、一緒の夕食は難しい。ほぼ毎日午後10時過ぎに帰宅する県東部の30代男性は「家族を待たせて生活リズムを崩すよりはまし」。早起きし、朝食を一緒に取るよう心がけている。
「いまは普通の食生活に戻った」と羽塚さん。最近、小学6年の受験生を持つ知人が「やっと終わった」と安どする姿が、1年前の自分と重なった。別の5年生の母親が「次はうち。乗り切れるかしら」と話すのも気になった。順送りされる不規則な食生活。「これでいいのか…」。羽塚さんの答えは出ない。
【写真】塾の休み時間に食事をとる児童=佐賀市内の学習塾(本文とは関係ありません) |
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