25年間 夕食は外で
1月下旬の平日夜。浜口敏一さん(52)=仮名=はいつものように、妻(51)と娘(15)を車に乗せると、佐賀市近郊のバイパスに向かった。娘が学習塾から帰ってくるのを待っていたため、家を出たのは午後10時近く。だが、24時間営業のファミリーレストランをはじめ、店探しには苦労しない。この夜はうどん屋を選んだ。
夫婦は結婚25年。共働きで2人とも帰りが遅く、新婚当初から「夕食は外で食べる」生活を続けてきた。「帰宅してから料理を作るより食べに行く方が早い」からだ。子どもができてからも、その生活は変わらない。
2人とも料理は得意。ただ「自分が夕食を準備するのを妻は嫌ったようだ」と浜口さん。遠距離通勤の妻は朝が早く、休日もぐったり。そのため、土、日も夜は外食だ。飽きないように天ぷら、豚カツ、お好み焼きなどいろんな店を回る。出費は1回につき3千円程度。毎回、妻が払う。浜口さんは「共稼ぎだからできること」と率直に語る。
家庭うまくいく
生活水準の向上や生活習慣の変化に伴い、近年、「食」に対する価値観がますます多様化している。30~40年前まで「外食はぜいたく」と考えられたが、いまは手軽に安く食べられ、抵抗感や罪悪感は薄れている。
佐賀県の試算によると、各家庭の外食率(食糧費支出に占める外食の割合)は約20%。全国に比べると低いが、増加傾向にある。浜口さんは「平日の夜も利用客は多い。お店の数が増え、便利になったからでは」と話す。
24時間、好きな時に食べ物が手に入る飽食の時代。「手作りの本物志向」より、「簡便さと安さ重視」の傾向がさらに強まる。週1、2回は外食するという佐賀市の共働きの女性(35)は「お金の問題はあるけど、疲れた体で炊事するより、外食を楽しんだ方が家庭もうまくいく」という。
一緒の時間大切
こうした傾向について、西九州大健康栄養学科の山崎美津代准教授は「食は大事だといわれるが、現実にはそれほど重視していないのでは」と指摘。「外食や総菜は濃い味付けが中心で、薄味のおいしさを感じなくなる。塩分のとりすぎや高脂肪は体に積み重なっていく」と警鐘を鳴らす。
浜口さんも「栄養管理は気になる点」という。それでも「3人がそろう時間を大切にしたい。ばらばらに食べるより、一緒に外食した方がいい」。25年間続けてきた生活リズムは簡単には崩せない。それに娘の弁当はいま、浜口さんが早起きして作っている。「決して食を軽視しているわけではないんですよ」。そう付け加えた。
【写真】ファミリーレストランなど飲食店が並ぶ通り。夜遅くまで営業している店も多い=佐賀市
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