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わたしの視点<3>医師・庄野菜穂子さん (10年1月4日)

心身両面で生命の基本

 

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 しょうの・なおこ 1963年福岡県生まれ。医学博士。佐賀医大を卒業後、同大助手・講師を務め、2007年に「ライフスタイル医科学研究所」を佐賀市に設立。生活習慣病外来で運動療法のほか食事、睡眠、ストレスなどの生活指導を行う。西九州大特命教授を兼任。佐賀市。
 □食をめぐる問題をどうとらえているか。

 

 ■頭に浮かぶキーワードは「乱食」「濫食」。食生活が豊かになった一方で、食べ方とか、食の質や量に乱れが生じている。それと同時に、食や健康に関する情報の氾濫で、誰もがそれを持て余し、コントロールできなくなっているように感じます。

 

 今は365日24時間食べたいときに食べられる反面、食べ方を考えなくなっている。安いからと食材を買いすぎて腐らせたり、必要以上に作りすぎたりしていないでしょうか。断りにくいとか、食べ放題を理由に、食べ過ぎていないでしょうか。

 

 □「医食同源」という言葉があるように、食と健康は密接に結びついている。健康という面から、どんなことを心がけるべきか。

 

 ■私たちの体の細胞や情報伝達物質は食べ物を代謝・分解してできている。筋肉や内臓だけでなく、思考や感情をつかさどる脳にもエネルギーを供給します。きちんと食事をとらないと、うつ傾向になりやすい。まさに食は、体と心の両面で生命の基本。もっと計画的に、戦略的に食べるべきかもしれません。

 

 例えば、前の食事がこうだったから次の食事はこうしようとか、食材を買う場合いま冷蔵庫に何がどれだけあるから、何をどれだけ買おうとか、栄養のバランスも考えて買ってほしい。そうすれば経済的な無駄もなくなり、もっと体をいたわり元気が出るような食べ方ができるはず。ただし、食だけではなく、運動や睡眠、精神面も含め、トータルバランスで健康を考えることが重要だと思います。

 

 □県内は、糖尿病患者と予備群が約15万人いると言われる。脂質異常症や高血圧なども食が影響する。病気にならないためには何が必要か。

 

 ■これらの病気には遺伝的な部分もあるが、食の面ではエネルギー過剰と同時に、栄養のバランスが崩れている傾向があります。自分の体の処理能力、すなわち適量を超えれば、体脂肪がつき、血圧や血糖値、コレステロール値が上がり、動脈硬化が進行する。結局、食行動の結果は体に表れる。だから、体が発する声に耳を傾けることが重要。定期的に健康診断を受けるだけでなく、体重や腹囲、血圧のチェックなど、日ごろから気軽にできることはたくさんあります。

 

 □最近はサプリメントを日常的に取る人も多い。ダイエットや食品などの誤った知識も問題となっている。

 

 ■健康に良さそうという雰囲気だけで、根拠も持たずに取っている人が多い。食事でバランスよく栄養をとるのが一番なのに、特定の栄養素だけを詰め込んだサプリメントに依存しても体全体の代謝がうまくいくわけがない。

 

 健康に関する情報は、玉石混交です。質の高い情報もあれば、商売優先の誤ったものもあるので、取捨選択する能力が必要。そのために医療側やマスコミは正しい根拠を示す努力が求められる。

 

 □医療現場全体から、もっと食に対する問題提起があってもいいのではないか。

 

 ■確かに必要ですね。生活習慣病は表面を薬で抑えても、根本原因となっている習慣の問題を改めなければ根絶にならない。しかし、長年身についた生活習慣は簡単に変えられないのが現実。私たちは管理栄養士や運動指導者などと連携し、食を含めた生活習慣の改善による根本的治療に取り組んでいます。