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「こころの病気」予防へ 単純に考え生きましょう

=診察室から=

2017年08月12日 14時52分

「こころの病気」予防へ 単純に考え生きましょう

 脳のしわが複雑に入り組み過ぎていると統合失調症の発症リスクが高くなる可能性があると、富山大学病院の鈴木道雄教授(精神神経科学)らのグループが、7月11日付の米医学誌電子版に発表しました。東京大学、東北大学などとの共同研究による報告です。

 私は30年以上の臨床経験から、精神疾患に悩む患者さんは非常に考え方が複雑で、単純に考えられなくなっていると、日ごろ感じています。患者さんの話を聞いていると、時間がたつにつれ、考え方が徐々に複雑になり、場合によっては、妄想めいた考え方に発展していきます。最悪の場合、予想もしない行動につながり、不幸な事件もいくつか体験してきました。

 そこで私は、悩める人の考え方をどうしたら単純化できるのか、長年悩んできました。患者さんの話にひと息入れてもらい、「よく眠れていますか」「食事は取れていますか」などと、より現実的で単純な日常生活に話を転じることも多くあります。

 思考が複雑になり過ぎて、混沌(こんとん)とした状態に陥り、普通の考え方ができなくなって混乱していく患者さんに対し、治療者としてできることは「単純化させる作業」であり、考え方を明快にまとめてあげることです。それは、ある意味で精神療法(心理療法)の極意だと思っています。

 その証明は難しいと思われますが、私たちが精神疾患に陥らないようにするための生活習慣は、複雑に考えを発展させず、「より単純に」「素朴に」「正直に」考えることです。

 現代社会は情報が多過ぎるため、何が正しくて何が誤っているか分からなくなり、脳機能が複雑化して、不安、眠れない、つらい、怒りといった脳の疲れと思われる症状が生じやすくなります。

 その解決法は脳を十分に休ませること(十分な睡眠をとること)。総じて日ごろから、余計なことを考えず、物事を単純に捉え、お互い信頼し、時には笑いながら、生活することが大切だと感じています。(佐賀大学保健管理センター長・精神保健指定医 佐藤 武)

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