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県有明水産振興センター アゲマキ復活へ研究着々

2014年06月07日 10時38分

アゲマキの成育状況を調査する県有明水産振興センターの職員ら=藤津郡太良町の大浦地先
アゲマキの成育状況を調査する県有明水産振興センターの職員ら=藤津郡太良町の大浦地先
大浦地先で稚貝から成育されたアゲマキ
大浦地先で稚貝から成育されたアゲマキ

 1993年から漁獲ゼロとなっている有明海特産の二枚貝「アゲマキ」。佐賀県有明水産振興センター(小城市芦刈町)が進めている稚貝放流の研究で、繁殖に適した条件が明らかになってきた。成育が順調な大浦地先(藤津郡太良町)を分析したところ、潟の水分量、うねりの小ささなどが重要と判明。養殖技術の確立はこれからだが、本年度は漁場環境を改善する研究に取り組んでいく。

 1980年代から生態を研究しており、96年には種苗生産の技術を開発。2009年からは稚貝を育てる実験を行っており、これまで419万個を11カ所に放流してきた。

 大浦地先では、放流から2年で漁獲サイズ(7センチ以上)を超える成長を見せ、順調な結果が出ている。浮遊幼生が近くで見つかるなど、産卵も確認した。12年度に成貝91・6キロ、13年度に8・4キロを試験出荷するまでになっている。

 同センターが繁殖の第一条件に挙げるのは浅瀬であること。塩分濃度が高い沖合では死滅してしまうため、潮位が2・5~4メートルになった時、潮につかる沿岸部が最適。潟に潜り込む習性があるため、掘った穴がつぶれないように、底質の水分量が干潮時に60%以下となることも重要という。

 また、アゲマキは固く締まった砂の層では、穴を掘ることができない。閉じこめられたり、動けなくなったりするだけでなく、えさの摂取と呼吸に不可欠な穴を確保できなくなる。細かいうねりが繰り返されると、泥と砂の層が分離する現象「分級」が起きるため、風と波が少ない海域であることも求められる。

 同センターはこうした条件を満たす適地を探し、本年度は中西部沖の3カ所で成育実験を進める。漁場を土のうで囲んでうねりを軽減するなど、適地造成のノウハウも蓄積する。

 アゲマキの県内漁獲量は1906年に1万4652トンを記録。近年のピークは88年の776トンで、ノリ不作やタイラギ不漁時も漁業収入を支える「お助け貝」と呼ばれてきたが、91年(75トン)から激減し、93年以降はゼロとなっている。

 中牟田弘典副所長は「県沖全域に母貝の集団ができれば、資源回復にも大きく貢献する。復活に向けて大きなステップアップになる」と期待を込める。

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