現在位置:

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

ポテチ不足防げ 長崎で“新ジャガ”開発

加工用品種、供給増へ栽培本腰

2017年09月05日 13時27分

加工に適したジャガイモの新品種「ながさき黄金」=6月、長崎県松浦市
加工に適したジャガイモの新品種「ながさき黄金」=6月、長崎県松浦市
ポテチ不足防げ 長崎で“新ジャガ”開発

 ポテトチップスの原料となる加工用ジャガイモが供給不足となる危機を回避しようと、ジャガイモの出荷量全国2位の長崎県が病害に強い上に味も良く、ポテトチップスなどの加工に適した新品種を開発し、栽培の拡大に本腰を入れている。ポテトフライやコロッケなどを買って自宅で食べる「中食」ブームも背景に、加工用の需要は底堅い伸びが期待できる。関係者は高値での取引が続くと見込んでおり、供給拡大を目指す。【共同】

■6時間で完売

 埼玉県八潮市の「菊水堂」が5月、自社製造したポテトチップスを5袋1500円でインターネット販売すると3千袋がわずか6時間で完売した。原料は長崎県が2009年に品種登録した「西海31号」で、アントシアニンという色素を含み皮が赤いことから「赤いポテチ」として売り出した。販売担当者は「最近はチップス人気が根強く、価値を認めてもらった」と話す。

 農林水産省によると、15年のジャガイモ出荷量は05年比で約1割減。ただ近年は加工用の需要が堅調だ。日本スナック・シリアルフーズ協会(東京)によると、ポテトチップスの16年出荷量は04年と比べ3割超増えた。

■30億円予算要求

 その需要に対し、産地では早急な増産が難しく、農水省の担当者は「供給が間に合っていない状態」と指摘する。これに最大産地・北海道の低温と台風による昨年の不作が追い打ちを掛ける形となり、大手メーカーがポテトチップスの生産を一部で中止する事態となった。

 植物防疫法による規制があり、外国産ジャガイモの利用は難しいとされる。国内産の加工用原料確保が喫緊の課題となる中、農水省は、国内の加工用の増産を後押ししようと18年度予算の概算要求に30億円を盛り込み、作付面積の拡大を狙う。

■調達産地を分散

 一方、ポテトチップスのメーカーが産地を切り替える動きも出始めている。原料産地の8割が北海道に集中する大手の湖池屋は「全国で収穫量の底上げを狙う」と調達産地の分散を図る方針だ。

 長崎県はこうした動きを追い風に、15年に登録出願した新品種「ながさき黄金」に期待を寄せる。栽培面積は、まだ県内の1ヘクタールほどにとどまるが、収量が多く味も良いのが特長。生産者は10キロ4千円ほどでネットや青果卸業者を通じ全国に販売している。

 開発に携わってきた県農林技術開発センターの馬鈴薯(バレイショ)研究室長、茶谷正孝さん(55)は新品種の認知度向上が課題とし、「市場やメーカーにPRして、産地としての長崎の名を全国に広めたい」と話している。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

記事アクセスランキング