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来年4月 国民健康保険広域化 累積赤字解消2市「困難」

努力か必須か 足並み乱れ

2017年07月16日 10時26分

来年4月 国民健康保険広域化 累積赤字解消2市「困難」

 国民皆保険制度を支える「国民健康保険(国保)」は、市町が個別に担ってきた運営に来年4月から県が加わって広域化される。「本年度末まで」と合意した各市町の累積赤字の解消を巡り、10市町が解消の見通しを立てている一方、2市が「困難」「無理かもしれない」とみていることが、佐賀新聞社の調査で分かった。現行の仕組みができた1959年以来の大きな転換点を迎える中、準備段階で足並みの乱れも見える。

 累積赤字を抱える県内の自治体は13市町で全20市町の65%を占め、割合で全国ワースト。佐賀新聞社が各市町に赤字解消の見通しを尋ねたところ、「確実に解消する(できる)」とした自治体は10市町だった。

 一方、鳥栖市は「努力義務と捉えていた。市民には国保加入者ではない会社勤めの人も多く、一般財源から多額の繰り入れを一度に行うと、“二重負担”にもなる。解消は難しい」と回答した。嬉野市は「無理かもしれない」とし、「当初は必須と捉えていたが、医療費が増えて累積赤字も増加した。困難という認識が共有されていると思っていた」と釈明する。

 鹿島市は「必須と捉えているが、方策を検討中で見通しが言える段階にない」とした。

 県は2010年から市町担当者を交えた会議を開いて準備を進め、年度中の赤字解消を「合意」していた。「解消する」と答えた市町の多くは赤字解消を「必須」と捉えており、ある自治体の担当者は「努力目標と捉える市町があるんですか」と驚く。別の自治体担当者も、赤字解消に努めてきたことを踏まえ「議会や国保運営協議会、加入者の理解が得られない。できない市町にはペナルティーが必要」と憤る。

 広域化後も、赤字額はそのまま自治体が持ち、他の自治体が埋め合わせるといったことがないため「各市町の事情がある」と、理解を示す自治体も複数あった。

 県は、担当者が参加する会議で、赤字を積み残した自治体に対し、県が交付金を出さない「配分調整」も提案している。実質的なペナルティーで、交付金がなくなれば、人間ドックなどの補助を市町が自主財源で行うか、加入者の自己負担を増やすことになる。

 県国民健康保険課は「国保は本来、単年度の収支が均衡していることが原則。広域化に伴い、県も保険者として財政の責任を持つことになるため、課題を認識しながら放置することはできない」と強調、「急に決まった話ではなく、赤字解消は以前から話をして、長い時間があった」と指摘する。

=ズーム= 国保の広域化

 国民健康保険は「皆保険制度のとりで」となる一方、低所得の加入者が多く慢性的な赤字体質が続く。広域化は運営主体を市町村から都道府県に移管して規模を大きくし、財政基盤を安定させるのが狙い。2018年度から、都道府県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保など、国保運営に中心的な役割を担う。

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