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警報、遮断機ない踏切 事故多発も対策苦慮

佐賀県内50カ所

2017年05月14日 11時28分

事故後、周囲の雑木が伐採された現場の踏切=2月、茨城県筑西市
事故後、周囲の雑木が伐採された現場の踏切=2月、茨城県筑西市

■整備高額、廃止は住民難色

 警報機と遮断機のない「第4種踏切」で事故が後を絶たず、国土交通省が安全対策や統廃合を呼び掛けている。遮断機などの新設には1千万円以上かかるため、鉄道事業者は統廃合に重点を置くが、住民の理解が得られず交渉が難航するケースも多い。地元自治体は事業者と住民の間で対策に苦慮している。

 昨年9月、茨城県筑西市の関東鉄道常総線の踏切で、自転車に乗った小学4年の男児=当時(9)=が列車にはねられて死亡した。友達の家に遊びに行った帰り道。車が通れないほどの狭い踏切の手前は、雑木が生い茂って見通しが悪かった。

 「もう少し早く何らかの対策が取られていれば」。遺族は行き場のない思いを抱えている。

 国交省によると、2015年度までの5年間で第4種踏切100カ所当たりの事故件数は、遮断機と警報機が整備された踏切の1・5倍。関東鉄道でも過去10年に6人が死亡した。

 筑西市は小4男児の事故を受け、第4種踏切に看板を設置したり、枕木に塗装したりする安全対策を実施。地元自治会との協議を重ね、事故現場の踏切など2カ所を今年3月に廃止した。

 一方で、農作業用の車両が利用したり、住宅の入り口が近くにあったりするなどの理由で、地域住民が反対するケースも多い。今回廃止された踏切を挟んで住宅と畑を所有する80代の女性は「高齢で遠回りは大変」と肩を落とした。

 鉄道事業者は「利用者が少ない踏切で遮断機などを整備するのは、費用面で現実的ではない」との立場。住民への説明を重ねてきた同市の植木徹調整監(61)は「多少の利便性は失われても安全第一。住民の生活に寄り添いながら理解を求めたい」と話す。男児の祖母(55)は「半年たっても悲しみは癒えない。他の方がつらい思いをしないよう、少しずつでも対策を進めてほしい」と訴えた。【共同】

=ズーム= 第4種踏切

 警報機と遮断機がない踏切で、国土交通省によると、昨年3月末時点で全国に2864カ所ある。警報機のみ設置の第3種、係員が遮断機を手動操作する第2種、遮断機と警報機が整備された第1種と区別される。半数余りをJR、残りを中小私鉄などが所有。100カ所当たりの事故件数が第1種に比べ1.5倍と多く、国は昨年3月に作成した「第10次交通安全基本計画」で、統廃合や遮断機整備の促進を求めている。

■県内50カ所、標識老朽化も

 佐賀県内に第4種踏切は50カ所ある。内訳はJR九州が41カ所、松浦鉄道(MR)が9カ所。地域住民にとって生活道路の一部になっているが、標識などの設備が老朽化しているところもあり、注意が必要だ。

 「見通しが悪いから、息子からは『自分で身を守らんば』と言われています」。MR西九州線の第4種踏切の近くに住む西松浦郡有田町の女性(76)は、軽ワゴン車で往来する際に用心を重ねている。線路のカーブや民家の塀、木々の影響で、列車の接近が分かりづらいケースがあるという。「踏切に入ろうとしたら、近くまで来ていた時もあった。とっさにバックしなかったら危なかった」

 この踏切には、注意を促す「×」印の標識が立っているものの、カーブミラーは鏡が外れ、黒くさびた支柱だけが残っている。「何年もこの状態。私が事故を起こさないうちにミラーを付けてほしい」

 長崎県佐世保市で今年3月、警報機だけが設置されている第3種踏切で歩行者が列車にはねられ死亡した事故を受け、MRは踏切設備の総点検をした。「標識や立て札が経年劣化で倒れたり文字が薄くなったりしている踏切がある。通行量が多いところから優先的に整備する」と説明する。

 JR九州は前年度、県内で3カ所の第4種踏切を廃止した。同社は「自治体や地元関係者と協議をしながら、安全対策を決定している」と話す。

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