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「数の横暴」議場に怒号 県議会再稼働容認

2017年04月14日 08時28分

佐賀県議会で玄海原発3、4号機の再稼働を容認する決議案が可決され、傍聴席から抗議の声を上げる人たち=13日午前、県議会棟
佐賀県議会で玄海原発3、4号機の再稼働を容認する決議案が可決され、傍聴席から抗議の声を上げる人たち=13日午前、県議会棟

■傍聴者「県民犠牲にするな」

 「数の横暴だ」-。議長が「賛成の方の起立を求めます」と告げると傍聴席からは怒号が飛び交った。九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働の是非を判断する臨時佐賀県議会は13日、「容認」の決議を賛成多数で可決した。不安や疑問を抱えて詰めかけた傍聴者は約100人。粛々と示された「県民代表」による意思表示に憤りの声を浴びせた。

 午前11時。議会は三つの決議案の提出者説明から始まった。「原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた原発が順次再稼働している現状の中で、玄海原発3、4号機も再稼働せざるを得ないと受け止めるものの…」。民進党の議員による「条件付き容認」の決議案の説明が終わると、傍聴席からは「よく分からん」という声が漏れた。

 知事に拙速な判断や同意をしないように求めた決議案の説明では、「そうだ」「その通り」と同調する声と拍手が続いた。これに対し、自民党などが提出した「容認」の決議案では「反対」「中身がない」とヤジが飛んだ。議長が「静粛に」と注意し、傍聴席脇の職員が「お静かに願います」と書かれたプラカードを示す場面もあった。

 「県民の安全が第一と言いつつ、反対や慎重を唱える学者、専門家の意見はホームページで流しているだけ。理解が得られたとは言えない」。討論で共産党の議員が訴えると、「そうだ」という声が響く。山口祥義知事は机の資料に視線を落としたままだった。

 採決で、知事に「不同意」を求めた決議案が賛成少数で否決されると、ため息が漏れた。自民の決議案の採決で自民など28議員が起立すると、傍聴者も立ち上がって叫び、「佐賀県民を犠牲にするな」と書かれた横断幕を掲げて抗議した。

 北九州市から1歳の長男を連れて傍聴に訪れた橋本加奈子さん(35)は「事故が起きれば被害は県境を越える。今日、賛成した議員は責任を取ってくれるのか。山口知事は子育て支援を大切にしていると聞いていた。命の問題もしっかり考えてくれると思っていたけれど…」と失望した様子。「玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会」の石丸初美代表は「まだ(原発の)スイッチは入っていない。諦められる問題ではなく、事故が起きる前に、止めるために運動を続けていく」と語気を強めた。

■迅速さ「歓迎」「感謝」玄海町長・九電

 玄海原発再稼働を容認した県議会の決議に、立地する東松浦郡玄海町の岸本英雄町長は歓迎、九州電力も感謝のコメントを出した。再稼働に反対する伊万里市の塚部芳和市長は大変残念とした上で、同じ30キロ圏内にある自治体と協力し、地元同意の範囲拡大を国に訴える考えを示した。

 1カ月前に再稼働に同意した岸本町長は「月末に議長選の臨時議会を控えているにもかかわらず、その前に再稼働を議論し、容認してくれた」と県議会の迅速な対応を評価した。「後は知事の判断を待つだけ」と述べ、再稼働時期は「早くても9月ごろになるのでは」と見通しを語った。

■「不安強く大変残念」伊万里市長

 塚部市長は「住民の不安が相当強い中、容認の決議は大変残念」との談話を発表した。今後も反対する姿勢を強調し、「30キロ圏内の周辺自治体とどういう連携をしていけるのか探りたい」と話している。

 九電は「深く感謝を申し上げたい」とコメント。安全対策や残りの審査に真摯(しんし)に取り組む姿勢を強調、住民の安心に向け「丁寧なコミュニケーション活動に努めたい」と方針を示した。決議で原子力に依存しない社会構造の確立を目指すよう強く要請されたことには、「決議文の内容を精査しておらず、具体的なことには答えられない」とした。

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