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反転授業の現場から(3) 学力との関係

武雄スマイル学習3年

2017年02月15日 09時45分

反転授業の現場から(3) 学力との関係

■テスト結果には表れず

 「反転授業で武雄市を学力日本一にする」-。武雄式反転授業「スマイル学習」を導入した前市教育監の代田昭久氏は2013年9月の就任会見でそう意気込んだ。開始当初から検証している松原聡・東洋大副学長は今年1月、武雄小であったシンポジウムで「家庭で予習している分、勉強時間は増えている。成績も上がっていいはず」と学力との関係に言及した。

■まとめ読みは こちら

 ただ、ここ数年の全国学力・学習状況調査(学力テスト)などを見ても、市内の小学生の成績が著しく向上したことを示すデータは表れない。反転授業の実施率が高い学校の成績が必ずしもいいわけでもない。

 最も早く導入した算数で小学6年の全国学力調査の結果を見てみる。16年度の算数Aの平均正答率は76・6で全国平均と県平均(いずれも77・6)を下回った。実施前を含めた13年度以降で県平均を下回ったことはなく、国平均以下も1回だけ。一方、算数Bは県を上回り、国と同じ値。反転授業と学力の関係性は明確には見えてこない。

 東洋大現代社会総合研究所が15年6月にまとめた「第1次検証報告書」に学力との相関関係に触れた箇所がある。

 県の学習状況調査の小6の成績を5年時と比較。反転授業を始めた算数で県平均を上回るポイント数が高くなり、実施してない国語で低下したことに着目して「成績向上に寄与した可能性がある」と分析した。その一方で反転授業の実施率が高い学校の成績が好転したといえない数値も出て、「実施率と成績変化に正の相関関係はみられなかった」とも。

 効果検証のため市教委は1月、新たな試みを実施した。市内全校で4年生の算数授業の3時間を使い、予習動画を使った場合と使わない場合を設け、授業後にミニテストをして結果を比較する。結果は3月にも松原副学長らがまとめる検証報告書で発表される。

 こうした論議に「そもそも反転授業は成績アップを目指したものか」という声も聞こえてくる。ある教諭は「この方式のいい点は話し合い、学び合う時間が増えること。説明する力がついているようで、記述式の問題を白紙で出す子が少なくなった」と評価し、テストの点数ではない部分での成長を感じている。

 先のシンポで東洋大文学部教育学科の斎藤里美教授は「どういう学力を育てるのか、地域で共有することが必要」と語った。「先生の取り組む姿勢に差があるのも、育てたい学力観の違いがあるからではないか」とし、「協働する力はこれからの社会で一番必要な力。子どもの変化を長い目で見ていく必要がある」と提言した。反転授業に何を求めるかが問われている。

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