現在位置:

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

反転授業の現場から(1) ICT活用

武雄スマイル学習3年

2017年02月12日 12時28分

授業が終わると、「よくわかった」から「まったくわからなかった」まで4段階で答える
授業が終わると、「よくわかった」から「まったくわからなかった」まで4段階で答える

■動画で予習、協働学習拡充

 「ほとんどが理解できている。予定通りに授業を進めよう」。円周を求める公式を学ぶ小学5年生の算数の授業開始前。担任教諭は、児童が家で予習した後に臨んだミニテストで30人中27人正解という結果を見て、公式の復習なしで授業を始めることを決めた。少し時間があったので不正解の3人を呼び、「直径と半径を間違っている」と原因を教えた。武雄市の小学校で2014年度から始まった「スマイル学習」。ICTを活用する「反転授業」で、児童は家庭でタブレット端末を使って5~10分程度の動画を見て予習し授業に臨む。

 科目は算数(3年生以上)と理科(4年生以上)。15年度から2~4年生で国語も加わった。同じ年に中学校にも広がり、数学と理科で取り組む。予習動画は全ての授業にあるわけではなく、小学校は算数の17%、理科20%、国語4%。中学校は数学9%、理科8%で用意されている。

 利点は(1)予習することで主体的に授業に臨む(2)教諭は理解状況を把握して授業に臨める(3)授業で協働的問題解決能力の育成に時間が割ける-を挙げている。

 「協働的問題解決能力」の時間とは、「つかむ-考える-広げる-まとめる」という授業展開のうちの「広げる」の協働学習に当たる。予習によって「つかむ」や「考える」の時間を短くして、「広げる」に時間を割く。児童がお互いに考え、学び合う時間が生まれ、主体的、能動的に学ぶ「アクティブ・ラーニング」にも発展していく。武雄方式はこの時間を増やしているのが特徴だ。

 冒頭の授業は、予習で学んだ「直径から円周を求める」を発展させて「円周から直径を逆算する」内容に展開した。児童は3人1組で答えの出し方を話し合って発表。教諭は「円周率を使うと直径も円周も求めることができる」と結んだ。授業後、児童はタブレット端末でアンケートに回答。「よくわかった」が55%、「だいたいわかった」36%、「あまりわからなかった」9%。クラスの理解度もすぐ把握できる。

 「予習時と授業後の理解度が分かるのが大きい」と教諭。予習時の理解度が低い場合は、復習の時間を設ける授業構成に変える。

 反転授業導入時は「予習してこない子はどうなる」「保護者の負担が増える」「家庭の対応の違いで学力差が出ないか」などの不安や疑念があった。今はほとんどが予習し、家庭も「親が教えなければいけないような内容はない」(6年生の保護者)という。

 当初の懸念は解消されてきているようだが、課題や問題は残る。その一つは実施率。15年度は小学校で5割程度、中学校は小学校を下回る低率で、学校間の格差が表れてきている。

   ◇   ◇

 武雄市が全小学生に貸与したタブレット端末を使い、家庭で予習動画を見て授業に臨む反転授業「スマイル学習」を始めて間もなく3年がたつ。現場の実情や課題、ICT教育の現状を探る。


【関連記事】
反転授業の現場から(2)実施率低迷
反転授業の現場から(3)学力との関係

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

記事アクセスランキング

明治維新150年