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外国人労働者の受け入れ企業 背景に人手不足

「貴重な労働力」

2017年02月11日 10時30分

工場で働くベトナム人技能実習生。人手不足を背景に、県内でも受け入れが増えている=杵島郡江北町のイイダ靴下
工場で働くベトナム人技能実習生。人手不足を背景に、県内でも受け入れが増えている=杵島郡江北町のイイダ靴下

■制度趣旨揺らぐ

 佐賀県内の外国人労働者が過去最高を更新し、初めて4千人を上回った。背景には企業の深刻な人手不足があり、「労働力の穴埋め」として技能実習制度などを活用して外国人を受け入れざるを得ない実態が浮かび上がる。一方で、実習先から失踪する外国人が増えてきており、「途上国への技術移転」という制度の趣旨が揺らいでいる。

 ベトナム人技能実習生30人が働く衣料メーカーのイイダ靴下(杵島郡江北町)。いずれも10~20代の女性で、手慣れた様子でミシンを操り、靴下やタイツを縫い上げていく。「みんな勤勉で器用。働きぶりも申し分なく、貴重な戦力」と飯田清三会長。2002年に実習生の受け入れを始めた同社では、ベトナム人が全従業員の2割を占める。

 16年の県内有効求人倍率(平均)は1.11倍。7年連続で上昇し、過去最高の1990、91年と同じ数値となった。これに対し求人に対して雇用できた労働者の割合は24.6%。卸売・小売、飲食・宿泊、建設、運輸業は10~20%台前半と低く、人手不足が顕著になっている。

 外国人の受け入れ企業はこうした業種にも共通する。製造業を中心に宿泊・飲食、卸売・小売の雇用が目立つ。国別では中国人が1008人で最も多く、ベトナム人899人、ネパール人861人と続く。

 実習生の受け入れ管理団体でつくる県協議会代表も務める飯田会長は「期限が限られており技能継承の課題はあるが、それでも外国人に頼らざるを得ない」と傘下企業の胸の内を代弁する。

 人手不足が外国人雇用の増加に拍車を掛ける一方、長時間労働など劣悪な雇用環境に置かれたり、収入目的などで他の仕事場を見つけ失踪したりする外国人も増加している。実習生らに仕事を紹介する業者も介在するなど問題は根深く、佐賀や福岡県の企業に実習生を派遣する管理団体は「人権上、携帯電話や通帳を企業で保管することもできず、適正な雇用管理を促すことしかできない」と対応に苦慮する。

 佐賀大のラタナーヤカ・ピヤダーサ教授(国際経済論)は東アジアの発展に貢献していることなど実習制度の意義を挙げた上で、「日本との所得格差を背景に、出稼ぎ目的で訪れる外国人と、人手不足の解消策として実習生を雇う企業との微妙な関係の上に成り立っている」と現状を説明する。

 その上で、中国人実習生の雇用が頭打ちになっている状況に触れ、「ベトナムなど途上国の発展も時間の問題。外国人を安価な労働力としてしか見ない企業には魅力を感じず、雇用すらできなくなる」と指摘。地域住民も関わり、住環境を含む雇用の改善を図る必要性を訴える。

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