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三菱電機、違法残業疑いで書類送検

元新人社員に月78時間

2017年01月12日 16時15分

長時間労働を巡る経過
長時間労働を巡る経過

 厚生労働省神奈川労働局は11日、三菱電機(東京)が入社1年目の男性社員(31)に労使協定で定めた上限を超える残業をさせていたとして、労働基準法違反容疑で同社などを書類送検した。若手社員に過重労働を強いる構図は電通事件と同じ。起訴を求める「厳重処分」の意見を付けたとみられ、厚労省は大手企業の違法行為に厳しい姿勢で臨み、働き方改革の機運を高めたい考えだ。

 菅義偉官房長官は記者会見で働き方改革について、年度内の実行計画取りまとめと関連法案を早期に国会提出する考えを重ねて表明。働き方改革実現会議を近く開き、長時間労働対策の本格的な議論に入る。厚労省幹部は「社会に警鐘を鳴らすためには大企業からメスを入れ、過重労働の根っこを取り除いていく必要がある」と話した。

 書類送検されたのは、法人としての三菱電機と労務管理を担当する当時の男性上司。容疑は2014年1月16日~2月15日、労働組合との協定(三六協定)で定めた上限の月60時間を超える78時間9分の残業をさせた疑い。三菱電機は「真摯(しんし)に対応していく。適切な労働時間の管理を徹底する」とコメントした。

 代理人弁護士によると、男性は大学院博士課程を経て13年4月に入社、同社の情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)に配属された。14年1月に100時間以上、2月に160時間以上の残業をしたと主張。4月には適応障害と診断され、うつ病の治療を受けた。

 三菱電機は社員の労働時間を16日から翌月15日で管理している。男性は書類送検容疑となった14年1月16日~2月15日の残業時間を59時間30分と過少申告し、「上司から残業時間を短く申告するよう指示された」とも証言していた。男性は病気療養期間を過ぎたとして昨年6月に解雇されたが、労災申請し、藤沢労働基準監督署(神奈川)が同年11月に労災認定。神奈川労働局が違法残業の疑いがあるとして調査していた。【共同】

■不休1カ月超、上司は罵倒 元社員「経営者、意識変えて」

 1カ月以上休めず、不眠を訴えても仕事は減らなかった。上司に罵倒され、自殺を考えるほど追い込まれた。三菱電機で違法残業を強いられた男性(31)は当時の働き方を振り返り「あれでは良い製品が作れるはずがない。経営者は意識を変えてほしい」と訴えた。

 大学院博士課程修了後、2013年4月に入社。研修で怒鳴り散らす先輩の姿や体育会的な雰囲気に違和感を持った。配属先の情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)では名札だけで姿を見せない社員が何人もおり、尋ねてみると、休職している人たちだったという。

 男性によると、秋ごろから担当していたレーザー技術の研究が多忙になり、その後、製品のトラブル対応も任せられるようになった。14年2月には月に160時間もの残業をしたといい、食事が喉を通らなかったり、手が震えたりする体の異変を感じるようになった。

 上司からは「よく博士号を取れたな」「中学生でもできるぞ」などとあざ笑うような言葉を何度も浴びせられたという。「社員を極限状態にして成果を求める企業体質を誰も悪いと思っていない」。自浄作用には期待できないと嘆く。

 労基法違反容疑で電通が書類送検されるなど、違法残業への世間のまなざしは厳しさを増している。男性は「飲酒運転は悲惨な事故をきっかけに厳しく断罪されるようになった。労働法規に違反することは犯罪だという意識が広がってほしい」と話していた。【共同】

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