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佐銀2支店侵入事件、暴力団関与の可能性

2016年12月18日 19時47分

佐賀銀行事件の構図
佐賀銀行事件の構図
10月上旬に金庫から数千万円が盗まれた事件で、行員寮から鍵などが盗まれた数時間後に侵入されていたことが分かった佐賀銀行干隈支店=福岡市城南区
10月上旬に金庫から数千万円が盗まれた事件で、行員寮から鍵などが盗まれた数時間後に侵入されていたことが分かった佐賀銀行干隈支店=福岡市城南区

■2店目窃盗被害 情報秘匿が裏目に?

 佐賀銀行が福岡市で営業している二つの支店で発生した金庫破り窃盗グループによる侵入事件。行員を手引き役とした事件の構図が公判で浮かびつつあり、暴力団組織の関与もにじむ一方、現金数千万円を盗み取った犯行の全容は明らかになっていない。銀行側は1度目の侵入で内部情報の漏えいや内通者の存在の可能性が浮上したにも関わらず、被害に遭う結果となり、情報の秘匿が裏目に出た側面もありそうだ。

■全容解明へ 操作水面下

 「間違いございません」。福岡地裁で13日にあった元行員の吉田淳被告(42)=懲戒解雇=の初公判。満席の傍聴者が見つめる中、吉田被告は証言席で、細々とした声で起訴内容を認めた。上下黒のジャージーに黒縁の眼鏡を掛け、銀行マンの面影はなかった。

 最初の事件が起きたのは箱崎支店(福岡市東区)。8月8日夕、営業終了後に男2人が裏口の職員専用出入り口から侵入した。警報機の作動などで窃盗被害は防げたが、バールを所持した2人は金庫破りが目的だった。指示役を含めて3人を福岡県警が逮捕した。

 店内に入る暗証番号や部屋の見取り図など内部情報が漏えいしていたことが判明し、吉田被告が内通者となって侵入を手引きした疑いが強まった。また、10月上旬の干隈支店(同市城南区)で起きた数千万円の窃盗事件でも、事前に吉田被告が同僚宅から支店の鍵などを盗み、窃盗グループに引き渡したとみられる。

 佐賀銀行の福岡本部営業支援部に所属していた吉田被告は勤務態度に問題はなかったという。取引先の情報提供や新規開拓で支店との関わりは深く、出入りも多かった。一方、公判で犯行動機を語る機会はこれまでなく、窃盗グループに関わるようになった背景は謎のままだ。金庫を破られた干隈支店の事件も、逮捕者の有無や手口を含めて詳細は明らかになっていない。

 警察や銀行が徹底して情報を秘匿する状況は、犯罪組織の関与を色濃くする。上層部の首謀者にたどり着くため、水面下での捜査の継続がうかがえ、事件の全容が分からない要因にもなっている。箱崎支店の侵入事件の公判では、実際に犯行を持ち掛けて指示を出した別の人物の関与も浮上し、関係者の供述からは、背後に暴力団組織が潜む可能性もにじませた。

 相次いだ金庫破り目的の事件を防ぐ手だてはなかったのか。8月の箱崎支店での事件後、銀行は各支店に暗証番号の変更など対策に着手するよう指示した。取り組み完了の報告も義務付けるなど異例の対応を取った。ただ、警察からの秘密厳守の要請で、事件発生の報告は支店長ら一部の幹部にとどめ、現場の行員には知らされていなかった。

 情報が秘匿された末、侵入が繰り返され、大金が盗まれた一連の事件。銀行の担当者は「捜査中で具体的にコメントできない」と、依然として詳しい言及は避けている。

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