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少年逮捕1カ月 体制、問題意識…課題多く

佐賀県教育情報不正アクセス

2016年07月28日 11時01分

タブレット端末を使った県立高校の授業風景(本文とは関係ありません)
タブレット端末を使った県立高校の授業風景(本文とは関係ありません)

◆先進県対応追いつかず 外部スタッフに頼り切り

 佐賀県の県立中学、高校の教育情報システムなどが不正にアクセスされた事件は、佐賀市の無職少年(17)=家裁送致済み=が逮捕されて27日で1カ月がたった。複数の学校から延べ1万5000人分もの個人情報が流出したのは全国的にも異例の規模で、システムだけでなく県教育委員会の対応や学校現場の体制、問題意識を含め、徹底した検証を求める声が上がる。

 「現場の先生は相当ショックを受けていると思いますよ」。教員経験がある教育行政の担当者が表情を曇らせた。逮捕された少年の仲間だったある高校生の行動を問題視していた。生徒は2014年度後半、自らのタブレット端末で「画面がおかしくなった」とうそをついて偽の入力画面を表示し、教員にIDとパスワードを入力させていた。事件の発端になった可能性があるこの手法は「フィッシング」と呼ばれ、銀行口座やカード番号をだまし取る詐欺と同じ手口だった。

■教員の思い逆手に

 生徒の困りごとを素早く解決しようとする教員の思いを逆手にとっていた。ある県立高校の教諭は「教師は生徒を信じ切っている。犯人かもしれないと疑っていては教育はできない」と話し、学校現場での対応の難しさを明かす。

 県のICT教育は、総合計画に重要施策として位置付けられた2011年度以降、本格化した。システム構築や機器の整備など、15年度までの関連事業費は約58億円。知事部局も財政面で積極的に後押ししてきた。児童生徒向けの教育用端末やデジタル教科書の整備率、電子黒板のある学校の割合などは全国1位で、この分野で先行する。

 ただ、前例のない教育手法に学校現場は追いついていない。教材づくりや機器のトラブルでは、各校に配置されている業者のスタッフに頼り切っている。「システムや複雑な機器の操作など詳しく分かるはずもない。何でも相談する」(高校教諭)のが実情だ。

 業者のスタッフなしに現場が回らない状況を、情報セキュリティーの側面から問題視する関係者は少なくない。個人情報を扱う県内のICT業者は「今回流出したような生年月日や住所まで分かる情報の価値は高い。悪意があれば根こそぎ持っていかれるという問題意識が足りない」と指摘する。外部の人間が個人情報に接触できないシステムや体制づくりを求める。

■専門職員採用も

 県教委は再発防止策として、個人情報を多く含む学校ネットワークをインターネットから分離するための課題などを調査している。ICTの専門家である県情報監を事件の対策チームに加えたほか、これまで配置していなかった専門知識のある職員の採用も視野に入れたセキュリティー強化を検討する。事件を検証する第三者委員会も設置し、10月には提言を受ける。

 県教委は昨年6月、不正アクセスを把握しながら、内部での情報共有や警察を交えた協議をせず、被害を防ぐ機会を逃している。情報モラルに詳しい佐賀市のメディアコンサルタント会社の牛島清豪社長(46)は「セキュリティーは常に破られる可能性を前提にすべきだ。まずは流出した事実を内部で共有したり、素早く公表したりするような信頼できる体制づくりが必要」と話し、組織の意識改革や責任の明確化を求める。

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