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成績まで流出 生徒「二次被害怖い」

=教育情報システム不正接続事件=

2016年06月28日 13時13分

教育情報システムへの不正アクセス事件で個人情報が盗まれたことを受け、会見で陳謝する古谷宏教育長(右)ら=27日午後、佐賀県庁
教育情報システムへの不正アクセス事件で個人情報が盗まれたことを受け、会見で陳謝する古谷宏教育長(右)ら=27日午後、佐賀県庁

 佐賀の県立中学、高校から大量の個人情報が盗まれた不正アクセス事件。被害に遭った学校は臨時の全校集会を開くなど対応に追われ、生徒や保護者には動揺が広がった。「悪用や拡散などの二次被害はない」。学校側は強調したが、断片的な情報しか説明されず、不安は払拭(ふっしょく)されなかった。

 「情報の管理責任者として、皆さんに心配と迷惑を掛けたことをおわびします」。生徒の住所や電話番号、成績などの情報が盗まれた佐賀北高では、通信制の授業で体育館が使えず、校内放送で説明した。荒谷弘幸校長(58)は「本来は子どもの様子を見ながら話した方がいいけれど…」。被害は保護者や卒業生にまで及び、対応に悩んでいた。

 県教委は容疑者の少年(17)が再逮捕される前日26日夜、被害校の校長を急きょ集めて対応を指示した。佐賀商業高の徳永清成校長(59)は臨時の全校集会で、被害状況を伝えた後に付け加えた。「うわさや臆測をSNS(会員制交流サイト)などで発信することはやめてほしい」。不確かな情報やデマで現場がさらに混乱することを懸念した。

 模擬試験の成績などが盗まれた致遠館中・高も全校集会を開いた。被害の概要を説明したが、中学2年の男子生徒は「あんまり詳しい説明じゃなかった」。中学3年の女子は「二次被害は確認されていないという話だったけど、ありそうで怖い」と表情を曇らせた。

 県教委は2月15日、警視庁からの連絡で被害を把握した。ファイル名の提供を受け、各学校のサーバーにあったファイル名と照合し、状況を確認していった。その際、校内LANで、重要度が最も高い管理者権限のパスワードを一般教職員レベルで見ることができるなど、セキュリティーの甘さが発覚。パスワードを不定期で変更するなどの改善措置を取った。

 古谷宏教育長は27日の会見で「個人情報が盗まれたのは極めて遺憾で、大変申し訳なく思っている」と陳謝した。県教委は、情報が悪用されるといった報告は入っていないとしながらも、「盗まれた情報がどこまで広がっているのかは分からない」。どの年代の卒業生までさかのぼって盗まれているのかについても「現段階では分からない」と終始、歯切れが悪かった。

 致遠館中の男子生徒の父親は「警視庁から連絡を受けるまで、不正アクセスに気付かないようなシステムを今後も使い続けて大丈夫なのか」と疑問を呈し、システムの閉鎖を含めた抜本的な見直しを求めた。

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 ■ICT活用、リスク浮き彫り 高いセキュリティー必要

 文部科学省は、学校情報を一元管理するシステムなど、情報通信技術(ICT)を活用した環境整備を進めているが、今回の事件は、システムにいったん不正侵入されると多くの情報が流出するリスクを浮き彫りにした。関係者は「導入するからには、高いセキュリティー意識が必要だ」と指摘する。

 文科省は「校務の情報化は、業務を効率化し、運営の改善を行う上で有効」と、ICTを使った環境整備の必要性を指摘。2014年度からの4年間で、学校のICT化全体で各年度1678億円を充てることになっており、システム化を進める自治体は増えている。

 それだけに今回の事件は関係者に冷や水を浴びせた形だ。これまでの学校情報流出は、USB端末の紛失といったケースが大半。文科省の担当者は「外部から侵入されて、大規模に情報が漏えいした事例は聞いた事がない」と話す。

 100以上の自治体に校務システムを導入している内田洋行の広報担当者は「学校も常にセキュリティーを意識する必要がある」と強調した。

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