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活断層から今後の大地震を考える 佐賀市で最大震度7も

産総研活断層・火山研究部門主席研究員 岡村行信氏

2016年06月18日 09時22分

「活断層から今後の大地震を考える」の演題で講演した産業技術総合研究所活断層・火山研究部門主席研究員の岡村行信氏=佐賀市のホテルニューオータニ佐賀
「活断層から今後の大地震を考える」の演題で講演した産業技術総合研究所活断層・火山研究部門主席研究員の岡村行信氏=佐賀市のホテルニューオータニ佐賀
JA佐賀信連常務理事 福岡一洋さん
JA佐賀信連常務理事 福岡一洋さん

 佐賀新聞社が主催する政経懇話会・政経セミナーの合同例会(14日)で、産業技術総合研究所(産総研)活断層・火山研究部門主席研究員の岡村行信氏が「活断層から今後の大地震を考える」と題し講演した。県内で大地震が起こる可能性などを指摘した講演要旨を紹介する。

 ◇   ◇   ◇

 熊本地震から2カ月。こういう機会に地震に関心を持ってもらうことが重要だ。

 日本列島に地震が多い要因は四方からプレートが押し寄せ、締め付けているから。これが列島にひずみを与え続け、たまに一気に解消される。GPS測量で地殻変動を観測しているが、東日本大震災までは西に動いていた太平洋沿岸の観測地点が地震後、東に一気に数メートルも戻った。数百年間にわたりたまっていたエネルギーが、大地震で一気に解消されたわけだ。

 断層とは岩盤がずれているところ。普段はくっついているが力がたまると一気にずれる。地震の震源とは最初に岩盤が割れ始める地点。熊本地震では益城町西側から割れはじめ、断層に沿って広がっていった。岩盤が割れる長さや面積はマグニチュードと関係があり、長く広いほどマグニチュードが大きい。

 今後の地震を考える上で過去の地震を知るのが重要だが、データは地道な調査で集められている。九州で一番古いのは、耳納山地北側の水縄断層帯が動いたといわれる679年の地震。その後も別府-島原地溝帯を中心に起こっている。佐賀は地震が多い地域から少し外れている。

 今回の熊本地震では、震度7や震度6強が広い範囲で観測され、佐賀も結構揺れた。佐賀は地盤的に揺れやすい場所なので注意が必要だ。また余震が非常に多かったのも特徴で、これからも余震は続くだろう。

 地震後にその地震がどういうものだったか調べる技術はここ数年で格段に進歩した。だが、地震の前は何も分からない。予知は全く根拠がない。地震とはそういうものだ。

 ではどうするのかというと、やっぱり活断層ということになる。活断層は過去に地震が起こり地面がずれたところ。地震は同じところで繰り返す傾向があるから、将来の震源となると言える。活断層の履歴など調査すれば、地震発生確率が出るはずだと考える。

 いま活断層調査のデータを集めて長期評価をしている。断層の長さや面積が分かれば、マグニチュードの最大規模を予測することもできる。地震が最後に起こった時期から、発生確率の推測も可能になる。

 3年ほど前に九州全体の活断層評価を文部科学省が公表した。佐賀では佐賀平野北縁断層帯が通っている。30年以内の地震発生確率は、九州中部が18~24%と非常に高い数字。北部は7~13%と中部に比べれば低いが、全く安心ではない。佐賀平野北縁断層帯の発生確率は0・2~0・5%。一見低そうだが、少なくともここ千数百年の間に動いた証拠はないので、発生時期が迫っていてもおかしくない状況だ。

 対策を取って損はない。佐賀平野北縁断層帯の地震は最大でM7・5と考えられ、熊本地震よりも大きくなる。佐賀市で最大震度7も起こりうる。

 内陸型地震と海溝型の巨大地震は関係がある。次の南海地震や東海地震が近づいていることから、西日本で内陸地震が起こるだろうと専門家は考えている。どこで起こるかは分からないが、佐賀県でないとは言えない。

 地震はとにかく突然起こる。揺れる前にどれだけ対策していたかで皆さんの運命が決まる。命だけは取り戻せない。命を守るために何をすべきかぜひ考えてもらいたい。

■講演を聴いて

JA佐賀信連常務理事   福岡 一洋さん

 佐賀は地震が少ない地域だと安心しきっていたが、講演を通じて活断層があることや、大きな地震が発生するリスクがそれなりに高いことを知り、気持ちが引き締まった。

 JA佐賀信連ではBCP(事業継続計画)を策定しており、熊本地震で運用したが反省点も多かった。被災した際の出勤態勢や建物が倒壊した場合などをあらためて想定し直し、危機管理計画を練り直す必要性を感じた。食料や水の備蓄、インフラが被災した場合の対応など、考えるべきことは山ほどある。今後しっかり検討したい。

=発言採録 政懇・政経セミナー=

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