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介護職員、疲労ピーク 佐賀からも応援

=熊本地震=

2016年05月16日 09時58分

余震への警戒を呼び掛けるニュースがテレビで流れる中、被災地の特別養護老人ホームで入所者の世話をする介護福祉士の梅﨑美佳さん(右)=12日、熊本県益城町のひろやす荘
余震への警戒を呼び掛けるニュースがテレビで流れる中、被災地の特別養護老人ホームで入所者の世話をする介護福祉士の梅﨑美佳さん(右)=12日、熊本県益城町のひろやす荘

■自らの被災顧みず、不休

 熊本地震の被災地で、介護の現場が悲鳴を上げている。慢性的な人手不足に加え、避難者の受け入れで、十分なケアができない恐れも出てきた。発生から1カ月、自らも被災しながら不休で働く職員の疲れやストレスはピークに達し、佐賀県などから介護のプロたちが応援に駆け付けている。

 「お昼の時間ですよー。今日はハンバーグとコーンスープです」。12日、熊本県益城町の特別養護老人ホーム「ひろやす荘」。佐賀市の介護福祉士梅崎美佳さん(47)が入所者の耳元で声を掛けた。一緒に食事の介助をしていた男性は京都府から加勢に来た介護職員で、敷地内にテントを張って泊まり込んでいた。

 2度の震度7に耐えた施設には16日の本震後、居場所を失った高齢者が大勢避難した。定員は155人だが、一時400人以上に膨れ上がった。12日も235人が入所し、普段はレクリエーションに使われるホールに、段ボール製の簡易ベッドが50床並んでいた。

 施設では180人のスタッフが働いている。被災した人たちばかりだが、すぐに職場へ復帰している。今も多くの人が自宅に帰ることができず、避難所や親類宅などから通勤する。梅崎さんと一緒に働いていた地元の女性職員は、自宅に「要注意」の黄色い札が張られている。「家でじっとしているより、働いている方が楽なんですよ」。気丈な口ぶりとは裏腹に、うっすらと涙を浮かべていた。

 熊本県の調査によると4月30日現在、少なくとも33の介護施設で127人の職員が不足している。国は関係団体を通じて全国の施設に応援を要請しているが、介護の現場はそもそも人手不足。同業者の窮状に援助の手を差し伸べるにしても、派遣期間は限られてくる。「本当は派遣するより、受け入れる方がいいんだけど…」。佐賀県内の、ある施設の責任者はこぼす。

 「せっかく熊本まで来て、力になれたんだろうか」。3日間にわたり応援に入った梅崎さんは、役立った実感を持てないでいた。それでも、地震後に初めて休みを取った職員から礼を言われた。「おかげで役場に行って、被災の手続きができました」

 復旧や復興は、支える側が体調を損なえば立ち行かなくなる。長期化を想定し、定期的に休みが取れるような組織的な対応が一層求められる時期になってきている。

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